抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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駿河湾の水深397mと687mから取水している,深層水施設のストレーナーで採取された魚類について29か月間調査した。採取された魚類は6目9科14属16種であり,水深397mで5種が,687mで16種が採取された。魚種をみると,1,000m以深が生息域のナメライワシが確認された。また,水深687mで亜寒帯系の魚種であるニュウドウカジカ,アラスカビクニン,ザラビクニンの3種が,駿河湾で初めて確認された。このことは,水深687mの水深帯は亜寒帯系由来の深層水であることを裏付けるものと考えられた。確認された新しい魚種数の1か月当たりの平均は,調査開始から1年までは0.92,それ以降は0.29であり,約7割の魚種が最初の1年で出現した。今回のデータを用いて,水深別に対数モデルによる累積種数曲線を求めたところ,単位時間採集に基づく累積種数曲線の決定係数はいずれも高く,採集時間を単位とした定量的な採集・解析が可能なことが示唆された。また,累積種数曲線から求めた,調査開始から29か月経過後の累積種数の予測値は397mで5.8,687mで14.5であり,実測値とよく一致し,687mが397mを大きく上回ったことから,魚類の種多様性は687m水域の方が397m水域に比較して,高いものと推察された。(著者抄録)