抄録/ポイント：
抄録/ポイント
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近年,公共空間は,活気ある豊かな生活を支える都市空間の重要な構成要素として再評価されており,その役割は発展途上国における非公式市街地の意味において注目を浴びている。法的開発規制を持たない非公式市街地に関しては,公共空間あるいは余剰空間が開発圧力により容易に失われると仮定することは自然である。しかし,形成され,継続されている様々な公共空間は,人々の生活に根付いている;実際,それらは小住宅に居住する人々の「居間」として,また人々の生活の場として,経済活動,コミュニティとの相互作用の場として役立っている。したがって,公共空間の役割と機能を理解することは,非公式市街地の生活環境の改善に重要である。本研究で扱った疑問は,公共空間が非公式市街地における人々の生活において果たす役割である。本研究は,ケニアのナイロビにおける主要な非公式市街地の1つであるMukuru Kwa Njengaの事例を取り上げて,公共空間の社会的機能を調べるために,公共空間における住民の相互作用の特性を明らかにすることを目的とする。現地調査では,Kukuru Kwa Njengaの公共空間のタイプを同定し,対象の研究地域を抽出した。次に,アンケート調査を,公共空間に居た70のグループにおける189人の人々に関して実施して,それぞれの研究地域における住民の相互作用の特性を,規模,近接度,および近隣関係,混合度,そして経済活動の観点から分析した。街路空間は,非公式市街地を日常ベースで使用できる唯一の公共空間であることが判った。そこで,そのような街路空間における住民の相互作用のいくつかの特性を明らかにした:多くの小さなグループ(規模);近距離の住民が大多数を占める(近接度);いくつかのグループは近隣関係を持ち,いくつかはそうでない(近隣関係)。性別,年齢,出身地,民族,および宗教に関して,同一および不均一の両方のグループが存在する(混合度);そして,住民の相互作用は経済活動(経済活動度)と強く関連している。さらに,街路と幹線道路を比較して,前者は,性別,出身地,民族,および宗教の場を横断する不均一相互作用のための場として特徴付けられ,一方,後者は,均一相互作用のための場としての特徴を有する。これは,故郷,民族,および宗教が異なる人々が,混合して生活するので,近隣関係に基づく住民の相互作用が,街路において属性の違いを超えて起こると考えられる。しかし,近隣関係に結び付かない幹線道路は,均一相互作用が,同じ故郷の人々,民族,宗教,家族などの間の関係を確立,維持する場所として役立ち,一方,遠くからの訪問者も受け入れる。結論として,著者らは,非公式市街地における公共空間が,住民間の社会的関係を創造し,進化する場所として機能し,その特性が生活様式によって影響を受ける可能性があることを見出した。(翻訳著者抄録)
