抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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近年の高齢化の進展の中,高齢者の外出支援が必要な地域が拡大していくことが想定され,公共交通機関の維持や活性化を更に図っていくことが重要であるが,これを補完するボランティア団体や地域の助け合いによる輸送サービスの提供も今後重要性を増すと考えられる。そこで,本調査研究はNPO法人等が実施する旅客運送サービスに関して,自家用有償旅客運送や許可又は登録を要しない運送の運営の実態や課題を把握し,持続可能なサービスを行うための工夫等について検討するとともに,今後のニーズの拡大等を見据え,地域の活動主体における取組と自治体や政策当局における政策検討の両方に資する現状整理を行った。本調査研究では輸送サービスを実施するNPO法人等の団体へ,アンケート調査及びヒアリング調査を行った。今回の調査結果の範囲で得られた主な知見は以下のとおりである。・公共交通空白地有償では,地域住民などの要望,行政や社会福祉協議会などの勧めにより運行を開始した団体が半数近く,行政や社会福祉協議会から輸送サービスに対して補助等助成金を受けている団体が6割強存在する。・福祉有償運送は,行政や社会福祉協議会と金銭的な関係がないとする団体が約半数であり,最も大きい収入が運送対価である団体が約6割である。・福祉有償運送のうち輸送サービスより収入の大きな事業・活動がある団体では,団体の他の事業・活動の人材・車両を輸送サービスに活用するとした団体で3年後の見通しについて継続が可能と回答する傾向がみられた。・福祉有償運送のうち輸送サービスのみ若しくは輸送サービスが最も大きな収入の団体では,利用者数が多い団体で3年後の見通しについて継続が可能と回答する傾向がみられた。利用者数が増加すると対価収入の増加にともない,輸送サービスの継続可能性が高まることが考えられると推測される。・許可又は登録を要しない運送では,組織形態に着目すると地域内の助け合い等の活動として組織されている割合が多いことが考えられ,利用者数に着目すると小規模に活動する団体がサービスを提供している割合が多いことが考えられる。利用者数が多い団体で3年後の見通しについて継続が困難と回答する団体の割合が高い。・特定の取組について,会費制度の導入,相乗りの実施については公共交通空白地有償を中心に,実施している団体が一定数あることがわかった。一方,地域通貨等ポイントの付与,配車効率化(アプリ)については現在実施している団体はほとんど存在しない。・許可又は登録を要しない運送を行う団体が,許可又は登録を要しない運送にした理由は「ボランティア精神で始めたため」と回答する団体が7割以上である。一方,「自家用有償旅客運送の制度を知らなかった」と回答する団体も約5%存在する。自家用有償旅客運送の制度の周知を充実させることも考えられる。・自家用有償旅客運送を実施している団体に対するアンケート調査では,繁雑だと思う事務手続について「更新・変更登録の申請時」と回答する団体が5割近く存在した。具体的には特に車両・運転者に関する提出書類の種類・量が多いこと等が挙げられた。(著者抄録)