抄録/ポイント:
抄録/ポイント
文献の概要を数百字程度の日本語でまとめたものです。
部分表示の続きは、JDreamⅢ(有料)でご覧頂けます。
J-GLOBALでは書誌(タイトル、著者名等)登載から半年以上経過後に表示されますが、医療系文献の場合はMyJ-GLOBALでのログインが必要です。
鶏もも肉は日本人にとって特に嗜好性が高い部位であるが,複数の骨格筋が入り組んだ複雑な構造を有しており,サンプルに含まれる骨格筋の違いを考慮して官能評価サンプルを採取する必要がある。そこで本稿では,パネリストごとに採取位置を管理することでサンプルを構成する骨格筋の違いを考慮した鶏もも肉の官能評価サンプルの調製方法を考案したので,事例とともに提案する。サンプルの調製方法としては,もも肉の膝関節から上の部分を供し,中臀筋の下端から上,並びに左右両側にはみ出た皮をトリミングした上で,大腿骨を除去する際に切開した部分の大腿四頭筋側の切開線に沿って,左右に二分割して2つのサンプルブロックを切り出した。調製したサンプルブロックの近位-遠位の長さを比較する個体間で揃えた後,近位-遠位間が1.5cmとなるようサンプルピースを切り出し,同じ位置から切り出したサンプルピースを同一のパネリストに対して割り付けることで,もも肉サンプルに含まれる骨格筋の違いの影響を低減した。秋田県の事例においては,上述の方法で調整したもも肉のサンプルとともに,上述の方法に準じて調製したむね肉を官能評価に供して総合的に評価した結果,高能力ロード種鶏から作出された比内地鶏と従来の比内地鶏の「好ましさ」および「比内地鶏らしさ」の選択に有意な偏りは認められなかった。島根県の事例においては,島根県の在来鶏である「出雲コーチン」の交配種2系統とブロイラーから,もも肉サンプルを上述の方法に準じて調製して官能評価に供し,その結果「出雲コーチン」の交配種2系統の「地鶏らしさ」の値がブロイラーのそれに比べて有意に高いことが明らかとなった。よって,本法は複雑な構造を有する鶏もも肉から,サンプルに含まれる骨格筋の違いを考慮した官能評価サンプルの調製と評価を可能とした。(著者抄録)