抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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本稿は,東日本大震災津波被災地域における水田農業の復興過程の事例について組織経営体による農業復興の事例を比較分析することによって,以下の結果を得た。第1に,被災後に離農した農家の農地が回復するとともに農家や組織経営体の担い手経営体に集積されるという既に統計分析で示した展望は妥当である。第2に,組織経営体の新設は,農家数減少によって生じる農地流動化面積に対して,2010年の5ha以上農家(旧担い手農家)戸数が少なく,地域内の農地維持が困難になるという危機的状況に対応して行われている。第3に,組織経営体の組織タイプは,旧担い手農家層が厚い地域では少戸数型組織が,それが薄い地域では旧主業農家層の自発的な取組によって准ぐるみ型組織が,そして関係機関の積極的支援によって小規模農家層による地域ぐるみ型組織が,それぞれ設立されている。第4に,組織経営体の労働力構成は,平坦地では構成員オペレータの専従傾向が強く,中山間地ではパートタイムのオペレータが多いながら新設組織には専従傾向が強い組織もある。第5に,組織経営体の多くは,水田作経営の最適規模(50ha以上,あるいは100ha以上)を実現し,その組織化は,1集落あるいは複数集落範囲とし,また旧藩政村を単位とするものが多い。(著者抄録)