抄録/ポイント:
抄録/ポイント
文献の概要を数百字程度の日本語でまとめたものです。
部分表示の続きは、JDreamⅢ(有料)でご覧頂けます。
J-GLOBALでは書誌(タイトル、著者名等)登載から半年以上経過後に表示されますが、医療系文献の場合はMyJ-GLOBALでのログインが必要です。
食品の微生物学的安全性・健全性において,殺菌処理に抵抗性を持つ細菌芽胞の制御は重要である。これらは殺菌処理工程で損傷し,亜致死状態として生残しながら,保存・流通過程の非ストレス下で回復するものと考えられているが,その動態は未解明である。本研究では,そのような細菌芽胞の損傷菌の制御法を確立することを目指し,Bacillus subtilis芽胞を加熱処理,または紫外線照射処理することで生じる損傷菌を,CFU法と生育遅延解析法によって得られる生存率を比較し,定量,解析する。また,ストレス応答制御遺伝子欠損株を用いて,主にDNA損傷・修復機構の関連性について評価し,損傷菌の回復機構を明らかにすることを目的とした。加熱処理した芽胞を二重後培養法で評価すると,増殖遅延,回復する損傷菌が検出された。DNA保護作用を持つsspAsspB遺伝子欠損株を用いた評価によって,加熱に対する抵抗性にDNAの保護が関与していることを確認した。また,紫外線照射処理では,遅延を伴う損傷菌の発生は少ないが,DNA損傷修復機能を持つykoVU遺伝子,recA遺伝子の欠損株を用いた評価において,特にrecA遺伝子の機能により,修復,正常な発芽後成長に至ることが示唆された。recA遺伝子はSOS応答系の調節を行うため,紫外線照射処理によりDNA損傷を受けた損傷菌は,これらの関連遺伝子が修復に関与し,回復に至るものと考えられる。このように,異なる殺菌処理方法では,異なる損傷・修復機構を示すことが明らかとなった。(著者抄録)