研課題
J-GLOBAL ID:202104018145322635
研究課題コード:10102446
判断・動作統合型運転行動モデルに基づく運転能力の統合的評価
実施期間:2010 - 2010
実施機関 (1件):
研究責任者:
(
, 工学研究科, 教授 )
研究概要:
本課題では、個々の運転者の運転行動特性を(連続/離散)ハイブリッドシステムの一種であるPrARXモデルとして表現し、運転モードの切り替わりを表す確率分布のエントロピーから、その運転者の判断能力を定量的に評価する手法を開発した。2モードのPrARXモデルは特定の式で与えられる。PrARXモデルの出力ykは、2つのARXモデルの出力値、y1,k、y2,kに重みをつけて足し合わせた形として与えられる。ここで重み係数は別の特定式のロジスティック関数で与えられ、これ自体が入力信号や過去の出力信号に依存する。直線道路における前方車追従運転行動を2モードのPrARXモデルで表現する場合、入力信号uは前方車との車間距離や相対速度などの環境情報であり、出力信号yは車両の加速度である。また、各モードは動的特性の異なる運転操作(通常運転と急ブレーキなど)を表現している。したがって、入力信号(=環境情報)に対する重み係数の変化が急峻であればあるほど、環境変化に対して鋭敏に操作の切り替えがなされていると言え、判断能力が高いと言える。このような判断のあいまいさを定量化するエントロピーは別の特定式で与えられる。PrARXモデルは、計測された入出力信号の時系列データをもとに最急降下法を用いてモデルパラメータを決定できるという利点がある。また、モデルのエントロピーはモデルパラメータから計算可能である。以上の手順により、個々の運転者の運転データから運転行動モデルを同定し、その運転者の判断のあいまいさをエントロピーにより計量することができる。開発した手法を応用し、車内機器操作などの外的要因が運転者の判断特性におよぼす影響を、ドライビングシミュレータを用いた実験を通じて検証した。 本技術は機器操作以外の様々な外的および内的要因(走行状況の変化や疲労など)による運転行動の変化を捉えることに有効である他、個々の運転者の特性に合わせた運転教育への応用が可能であると考えられる。
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