抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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トサカノリMeristotheca papulosaは,紅藻綱スギノリ目に属す食用海藻で,太平洋沿岸中・南部,九州,西南諸島の水深5-30mの岩礁や転石上に生育し,海藻サラダや刺身のつまとして珍重されるなど,水産的価値も高い。主な産地は房総半島南部や伊豆諸島,四国,長崎県五島,熊本県天草諸島,鹿児島県枕崎などで,全国生産量は年間1,600-2,000トン(湿重量)となっている。大分県では,宮崎県との県境に位置し豊後水道に面した佐伯市沿岸の米水津や蒲江,名護屋などで(図1),解禁日を決めて潜水により漁獲されている。県下の年間生産量は50-100トン程度と推定されるが,地元では潜水漁業の貴重な収入源であり,増養殖の要望も強い。本種の形態や生態,養殖試験等の報告は幾つかなされている。しかしながら,養殖技術はいまだ完全には確立されておらず,養殖増産技術の確立と天然個体群の回復は急務の課題となっている。また,海藻類の増養殖を行う場合,まずは胞子や配偶子の基質への採苗からスタートする場合が多いが,本種について,採苗にふさわしい水温や照度等を検討した事例は少ない。そこで本研究では,本種の増養殖を開始する場合に,基本的で重要な採苗時の胞子放出に及ぼす水温や照度の影響について室内実験を行い,若干の知見を得たので報告する。(著者抄録)