抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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新築の高層ビルが建築される都心部を除いて,都市中心街では人口が減少し建物が老朽化する傾向にある。都心部周辺の衰退への対策として,リノベーションの手法は有効であると言われている。本論は,リノベーション運動が都心部周辺の衰退(「スポンジ化」)にどのように寄与するのかを検証することを目的とする。中崎町は大阪市(梅田・茶屋町エリア)の北側に隣接し,多くの古い木造長屋が密集している。2000年以降,リノベーションされた古い長屋住宅の集積により,本地区は社会の注目を浴びている。現在,それらは,雑貨・衣料の販売やカフェなどの形で利活用されている。本研究は,2011年のアンケート調査を参考に,店主と来街者へのインタビュー調査を含む。本調査により,多くの店主と来街者は20~30歳代の女性であり,「古風,世俗的で芸術的」な本地区の雰囲気に魅了されていることが分かった。Y.石村(2017)は,この傾向を,古い建物と内部市街地の美化,と呼んだ。建築環境の観点からは,リノベーションは土地利用と建築物の増加を抑制するものである。しかし,「オーバーツーリズム」のため,本地区の全ての土地所有者と住民がリノベーションの影響を好意的に受け入れているわけではない。したがって,本論は主にリノベーションによる都心部周辺の再構築は,必ずしも有効ではないことを示している。(翻訳著者抄録)