抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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【緒言】わが国の高齢化率は,2065年には38.4%に達することが予想されており,今後,高齢者による事故が増加することが指摘されている。最近では,高齢運転者が起こしたブレーキとアクセルのペダル踏み間違い事故が社会的な問題となっている。【対象および実験方法】ペダル段差20mmのセダン型乗用車を試験車とし,高齢者の被験者5人(平均年齢72.8歳)および若年者の被験者5人(平均年齢18.0歳の男性)に右足の踵を床に付けてペダル操作する姿勢になってもらい,ブレーキもしくはアクセルペダルを右足先で踏むタスクを与え,アクセルからブレーキに踏み換える際の足の動きを撮影,その画像を分析することによって,ペダル踏み間違いの発生メカニズムを明らかにした。【結果】高齢者の被験者において,アクセルの位置に踵を置き,これを支点に足先を内側に向けてブレーキを踏もうとしたところ,アクセルに近い場所を踏んでしまうニアミスが発生した。一方で,アクセルとブレーキの中間くらいの位置に踵を置いた場合には,ニアミスは発生しないといったことを確認した。そこで,若年者の被験者に対し,踵を置く位置を「条件1:アクセルの位置」「条件2:アクセルとブレーキの中間の位置」「条件3:ブレーキの位置」として実験を行ったところ,「条件1」では高齢者と同様にニアミスをしてしまう,もしくはアクセルペダルを踏んでしまう,「条件2」ではニアミスを起こさない場合とニアミスをした場合の両方があり,「条件3」においては,ニアミスは発生しなかった。【結論】右足の踵をブレーキペダルの位置に置いた状態で「踵を床に付けたペダル操作」を行うことは,ペダル踏み間違いを,よりいっそう起こしにくくするペダル操作法と考えられる。(著者抄録)