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J-GLOBAL ID:202202254273855520   整理番号:22A1657776

2030年におけるブルー水素製造の経済性分析

Cost analysis of blue hydrogen production in 2030
著者 (3件):
資料名:
号: EX21012  ページ: WEB ONLY  発行年: 2022年03月 
JST資料番号: G0977C  資料種別: 逐次刊行物 (A)
記事区分: 原著論文  発行国: 日本 (JPN)  言語: 日本語 (JA)
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背景。水素の需要は今後,脱炭素化に向けて増大すると見込まれるが,再エネ電力から製造するグリーン水素だけでは,近い将来の水素の大量需要を満たすことは難しい。このため各国の水素戦略では,CO2の分離回収貯留(CCS)を伴って化石原料から製造するブルー水素の利用も想定しており,その経済性評価が望まれている。また,CCSを行っても一部のCO2が排出されるため,経済性評価においては,炭素の排出に対して課せられるCO2価格を考慮する必要がある。目的。国際エネルギー機関(IEA)などの報告を基に,製造地や原料の違いによるブルー水素の経済性の現状および2030年の見通しを整理する。また,日本への輸出が期待される豪州のブルー水素について,CO2価格の影響を含めた経済性を独自に評価する。主な成果。水素製造にかかる経済性指標の均等化水素原価(LCOH)について,製造地におけるLCOH(以下,製造地LCOH)をIEAの報告などを基に整理し,製造地や原料(天然ガスや石炭)による違いを比較した。1.欧州の天然ガスを原料とするブルー水素とグレー水素の比較。現在,天然ガスを原料としCCSを伴わないグレー水素が世界的に流通している。IEAの試算によると,CCSを行うことで製造地LCOHは現状(2019年時点)で約5円/Nm3上昇する。2030年において,ブルー水素の製造地LCOHは,CCSの技術進展により設備費と運転維持費が低下するが,天然ガス単価が現状の0.76円/MJから0.83円/MJに増加するため,現状の23円/Nm3から低下しない見通しである。2.原料の違いによる欧州と中国のブルー水素の製造地LCOHの比較。IEAによる2030年予測から,欧州の石炭を原料とするブルー水素の製造には上述の天然ガスを原料とする場合に比べて2倍以上の設備費と運転維持費を要するが,原料費が安価なため,製造地LCOHとしては同程度の約23円/Nm3となる(図1)。一方,中国では現在,石炭を原料とする安価なグレー水素が主に流通している。石炭単価を3,300円/t(発熱量を6000kcal/kgで換算)としたIEA試算によると,ブルー水素の製造地LCOHは約15円/Nm3となり,CCSを行っても世界的に最も安価である。これは欧州などに比べて中国では設備費が低いためである。3.豪州のブルー水素とグリーン水素の製造地LCOH試算とCO2価格の影響。国際機関などの前提条件を基に,CO2価格を考慮した2030年の豪州におけるブルー水素とグリーン水素の製造地LCOHを試算した。石炭が原料のブルー水素はCO2価格が上乗せされることにより最も安いケースを仮定したグリーン水素よりも若干高くなる可能性がある。また,いずれの製造地LCOHも褐炭由来のブルー水素についての政府目標価格12円/Nm3より高く,設備費の低減などによる一層の低コスト化が求められる。さらに,大量排出されるCO2の貯留について商用化促進も必要である。(著者抄録)
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分類 (1件):
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気体燃料の製造 
引用文献 (62件):
  • 第二百三回国会における菅内閣総理大臣所信表明演説, https://www.kantei.go.jp/jp/99_suga/statement/2020/1026shoshinhyomei.html (最終閲覧日 2021年9月12日).
  • 梶山経済産業大臣の臨時記者会見の概要, https://www.meti.go.jp/speeches/kaiken/2020/20201026001.html (最終閲覧日 2021年9月12日).
  • 経済産業省, 水素基本戦略 平成29年12月26日 再生可能エネルギー・水素等関係閣僚会議, 2017.
  • FCH-JU ホームページ, https://www.fch.europa.eu/ (最終閲覧日 2021年9月12日).
  • Certifhy プロジェクトホームページ, https://www.certifhy.eu/ (最終閲覧日 2021年9月12日).
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