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J-GLOBAL ID:202202259646827788   整理番号:22A1208870

有機物施用を主体とした栽培様式における土壌微生物群集構造と施肥対応の総合化に関する研究

Study on soil microbial community structures and comprehensive design for fertilizer application in cultivation styles mainly for organic matter application
著者 (1件):
資料名:
号: 154  ページ: 91P  発行年: 2022年03月 
JST資料番号: S0275A  ISSN: 2186-1064  資料種別: 逐次刊行物 (A)
記事区分: 原著論文  発行国: 日本 (JPN)  言語: 日本語 (JA)
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本研究の目的は,有機栽培をはじめとする有機物施用を主体とした栽培様式において,窒素とリン酸代謝に関わる土壌微生物群集構造を解析するとともに作物生産と環境保全を両立する総合的な施肥対応技術を確立することである.窒素に関してプロテアーゼ,リンに関してアルカリホスファターゼを対象酵素として,有機物施用による酵素活性の変動とその生成細菌群集構造との関係を解析した.次に,有機栽培畑の土壌診断に基づく窒素施肥対応を確立するために,生産現場での活用が期待される鶏ふん堆肥の窒素肥効を評価し,有機物施用を主体とした栽培様式に適した資材を選定した.また,有機栽培畑に適した土壌窒素診断基準値を設定するとともに,本道の主要な作物であるカボチャ,スイートコーン,レタス,タマネギ,バレイショについて,窒素施肥対応を検討した.有機栽培で施用されることの多い堆肥について,窒素収支の観点からその施用上限量について検討した.また,有機栽培畑へ転換する際の生産安定化に資する緑肥導入モデルについて提案した.さらに,有機栽培畑における適正なリン酸施肥量をリン酸肥沃度別に設定するとともに,これまでの検討結果を活用しながら,有機栽培畑に適した窒素,リン酸,カリの施肥量目標値を算出し,有機質肥料の施用量を簡易に設定できる総合施肥設計ツールを開発した.研究成果の概要は以下の通りである.1.有機物施用による土壌微生物活性とその生成細菌群集構造との関係:1)プロテアーゼ生成細菌群集の解析手法と栽培様式による変動:有機物と化学肥料の施用が非根圏土壌と根圏土壌のプロテアーゼ活性とプロテアーゼ生成細菌の群集構造に与える影響について,レタスを供試作物として解析した.(1)有機物施用によるプロテアーゼ活性は化学肥料施用に比べ常に高かった.また,根圏土壌のプロテアーゼ活性は非根圏土壌よりも高かった.(2)アルカリ金属プロテアーゼ遺伝子と中性金属プロテアーゼ遺伝子を対象としたDGGE法により細菌群集構造を解析した結果,アルカリ金属プロテアーゼ生成細菌は主にPseudomonas fluorescens,中性金属プロテアーゼ生成細菌はBacillus megateriumに近縁であった.これらの結果は,既往の培養法による結果と一致し,本研究のDGGE法がアルカリ金属プロテアーゼ遺伝子と中性金属プロテアーゼ遺伝子に対して高い特異性を持っていることを意味する.(3)DGGEプロファイルに基づく主成分分析の結果,有機物施用と化学肥料施用の間で,アルカリ金属プロテアーゼや中性金属プロテアーゼ生成細菌の群集構造が異なった.また,プロテアーゼ活性を目的変数,主成分分析の第一主成分と第二主成分を説明変数とした重回帰モデルはアルカリ金属プロテアーゼ,中性金属プロテアーゼともに有意であった.(4)以上から,各々のプロテアーゼ生成細菌は量や特異性の異なるプロテアーゼを放出し,アルカリ金属プロテアーゼと中性金属プロテアーゼの生成細菌群集構造がプロテアーゼ活性の変動に対して大きな影響を及ぼしていることが示唆された.2)アルカリホスファターゼ生成細菌群集の解析手法と栽培様式による変動:有機物と化学肥料の施用が非根圏土壌と根圏土壌のアルカリホスファターゼ活性とアルカリホスファターゼ生成細菌の群集構造に与える影響について,レタスを供試作物として解析した.(1)有機物施用のアルカリホスファターゼ活性は化学肥料施用に比べ常に高く,根圏土壌のアルカリホスファターゼ活性は非根圏土壌よりも高かった.アルカリホスファターゼ活性と有効態リン,バイオマスリンとの間に正の相関関係が認められた.また,有機物施用におけるレタスのリン含有率は化学肥料施用に比べ高かった.これらの結果から,有機物施用によるアルカリホスファターゼ活性の上昇は有機態リンから有効態リン,バイオマスリンへの変換を促し,作物が利用可能なリンが増加したことが示唆された.(2)DGGE法によりアルカリホスファターゼ生成細菌群集構造を解析した結果,サンプリング時期,施肥処理,土壌採取部位を問わず,多くのDNA断片が得られたことから,多種多様なアルカリホスファターゼ生成細菌が存在することが示唆された.得られたDNA断片は,主にMesorhizobium lotiやPseudomonas fluorescensに近縁であった.(3)DGGEプロファイルに基づく主成分分析の結果,アルカリホスファターゼ生成細菌の群集構造は施肥処理や土壌採取部位によって有意に変化した.また,アルカリホスファターゼ活性を目的変数,主成分分析の第一主成分と第二主成分を説明変数とした重回帰モデルは有意であった.(4)以上から,各々のアルカリホスファターゼ生成細菌は量や特異性の異なるアルカリホスファターゼを放出し,アルカリホスファターゼ生成細菌群集がアルカリホスファターゼ活性の変動に大きな役割を果たしていることが示唆された.2.有機栽培畑の土壌診断に基づく窒素施肥対応:1)有機物施用を主体とした栽培様式に適した有機質資材の選定:窒素含有量の異なる鶏ふん堆肥の施用が特別栽培バレイショの収量性に及ぼす影響を,培養試験に基づく窒素無機化特性の調査を含め解析した.供試した鶏ふん堆肥は,現物当たり窒素含有量が20gkg-1前後(低N鶏ふん),30gkg-1前後(中N鶏ふん),40gkg-1以上(高N鶏ふん)の3種類で,総窒素施肥量100kgha-1の内,北海道の慣行レベルの半量に相当する55kgha-1を硫安で,残りの45kgha-1を鶏ふん堆肥で施用した.(1)窒素無機化は,高N鶏ふん堆肥が最も速く,中N鶏ふん堆肥,低N鶏ふん堆肥の順であり,含有する尿酸の量を反映した.窒素無機化に及ぼす培養温度(10°C,30°C)の影響は,高N鶏ふんでは少なかったのに対し,低Nおよび中N鶏ふんは10°Cで無機態窒素率が低く推移した....(著者抄録)
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分類 (3件):
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施肥法・肥効  ,  畑作物一般  ,  土壌生物 

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