抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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晶析で得られる結晶の形態が繊維状等の場合,固液分離の際にケークを形成し,濾過性の悪化や純度低下といった問題が発生する。そこで,ハンドリング性に優れている凝集した球形の粒子を作製する晶析手法が注目されている。これまでに,我々はインドメタシン(IMC)-アセトン-水の3成分非溶媒添加晶析にて,NaClが溶解した水溶液(塩水)を添加して液-液分離を誘発することで,析出するIMCの結晶形態が綿状から顆粒状に変化し,固液分離性が大幅に改善することを見出した。しかし,液-液分離を誘発するために添加したNaClや,結晶化成分が溶解していた溶液(母液)は,顆粒状のIMC結晶粒子(凝集粒子)内部に多量に取り込まれるため,結晶純度は大幅に低下する。粒子群の純度回復のために,固液分離後の凝集粒子を再度溶媒中に懸濁させて,不純物を除去(洗浄)する操作がリスラリーである。現状,凝集粒子の粒径や空隙率といった品質がリスラリーによる純度回復の挙動に及ぼす影響は充分に検討されていない。そこで,塩水を添加することで得られる凝集粒子に含まれるNaClがリスラリー中に除去されるメカニズムを解明し,効率的なリスラリーの実現に向けて,望ましい品質を有する凝集粒子群を製造するための晶析操作の設計指針の獲得を本研究の目的とした。様々な晶析条件で作製した凝集粒子をリスラリー液に懸濁させ,液中のNaCl濃度を測定した結果,晶析時の撹拌速度がリスラリー時の凝集粒子の母液除去率に影響していることが明らかになった。凝集粒子の品質を比較したところ,撹拌速度が速くなるにつれ,凝集粒子の粒径は小さくなっていたが,空隙率には大きな違いはみられなかった。速度解析により,凝集粒子の粒径と母液除去率の経時変化の関係をリスラリー速度定数として評価した結果,リスラリー効率は凝集粒子の粒径に大きく依存することが示唆された。そこで,凝集粒子を粉砕して異なる粒子径の凝集粒子を作製し,リスラリーによる純度回復挙動を比較したところ,小粒径の凝集粒子は高いリスラリー速度が優れていることが分かった。したがって,塩水を用いたIMCの凝集粒子の純度を回復するためには,晶析プロセスにて小粒径の凝集粒子群を晶析プロセスにて作製することが望ましい。以上より,リスラリーにて凝集粒子の純度向上を図るためには,不純物除去に適した品質を有する結晶粒子群を得るための晶析条件の設計が重要であることを見出した。(著者抄録)