抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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【緒言】我々は2018年度助成研究において,一時的等速電気泳動をオンライン濃縮法とするキャピラリーゾーン電気泳動法は,塩中F
-定量法としての潜在的有用性を有することを示した。そこで2020年度助成研究では,本法の感度を改善するために,内径の大きなキャピラリーの効果について検討した。また,F
-と安定な錯体を形成するAl
3+やFe
3+等による妨害を改善するために種々のマスキング剤の効果について調べた。確立された方法により,凍結防止剤として利用される塩中のF
-を定量し,従来法による結果と比較した。【実験】キャピラリー:内径100μm,全長87.4cm,有効長75cm;泳動液:5mM2,6-ピリジンジカルボン酸(pH3.5)+0.03w/v%ヒドロキシプロピルメチルセルロース;試料注入法:真空吸引法(50kPaで2.2秒);泳動電圧:-20kV;検出波長:200nm。標準溶液:0-0.50mg/L F
-を添加した50mM NaCl溶液;塩試料調製法:超音波洗浄機を用いて塩1.5gを水に溶解し,電子レンジで30秒加熱後100mLとした。標準溶液中Cl
-,Al
3+,Fe
3+,Mg
2+,Ca
2+濃度の影響を調べ,ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)等による金属成分のマスキング効果を調べた。次いで,最も効果的であったDTPAの濃度及び添加後の静置時間について検討した。最後に,16種類の副産塩あるいは造粒塩中のF
-を本法により定量し,従来法による結果と比較した。【結果と考察】キャピラリー内径を100μmと大きくしたことにより(従来は75μm),検出限界および定量限界を約1/2に改善できた。また,標準溶液中F
-濃度一定の場合,ピーク面積はCl濃度にかかわらずほぼ一定であった。標準溶液中のAl
3+濃度が増大するにつれ,F
-ピーク面積は減少した。Mg
2+については,標準溶液中濃度がNaCl濃度に対して500mg/kgの場合,F
-回収率は約93%であった。Fe
3+,Ca
2+の場合,回収率はほぼ100%であった。10種類のマスキング剤について検討したところ,DTPAが最も効果的であり,標準溶液にDTPAを0.2mM添加し,約60分静置すればAl
3+等の影響を受けず,F
-をほぼ100%回収できることが判明した。本法による塩試料中F
-定量結果は,従来法による結果とほぼ一致した。(著者抄録)