本研究では,楽器の指導場面における演奏・発話区間の情報と,それらに対して付与した指導ラベルを集約するための第一歩として,レッスンの構造的な分析を試みた.具体的な取り組みとして,Generative Theory of Tonal Music(GTTM)を援用して,教師の発話に対する時間的・階層的な構造を持つ木構造を手動で作成した.本稿では2名の分析者による木構造の比較を通して,共通する構造パターンの抽出や,木構造の自動生成に向けたルールについて考察した.結果として,木構造におけるグループ(発話のまとまり)の解釈には共通性があり,階層の決定付けにはSOAPと呼ばれる指導内容を分類するラベルが有用であることが示された.(著者抄録)