抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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本研究では,マルチエージェント配送問題の制御手法であるPriority Inheritance with BackTracking(PIBT)に一時的な優先度を導入し,PIBTの基本的な性質は保持したまま適用環境の制約を緩め,その適用範囲を広げる拡張型のPIBTを提案する.PIBT手法はステップことに優先度を計算し,その優先度の高いエージェントから順番に,次のステップでの移動先を確定させるアルゴリズムである.このアルゴリズムでは,行き止まりや木構造のような形状を含むマップでは行き詰まり(デッドロック)が発生するため,環境にその発生を防ぐ制約を設けている.そこで本研究では,エージェントに通常の優先度に加えて一時的な優先度を持たせ,さらに不要な部分への移動を禁止する拡張を施し,先行研究で求められる条件を緩め,2重連結領域である主領域に,木構造や小規模の2重連結領域を加えた領域でも継続的な搬送ができることを述べる.条件を緩めた環境において既存手法との比較実験を通し,その効率が高いこと,特に実際の配送問題で想定されるような運搬箇所に集中や偏りがある場合にその効率がきわめて優位であることを示す.(著者抄録)