抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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我が国では,多くの地域で人口減少によるバス等の公共交通サービスの需要減少や経営悪化,また担い手不足といった要因により,公共交通の維持確保が困難になっている。一方,高齢者の免許返納等への対応や,多様な層(女性,障害者,外国人等)の移動手段を確保できるような,社会参画を支えるモビリティの実現が強く求められる。2020年11月27日に一部改正された「地域公共交通の活性化及び再生に関する法律」では,地方公共団体による「地域公共交通計画」(マスタープラン)作成の努力義務化,地域に最適な旅客運送の継続(地域旅客運送サービス継続事業),利用者目線による路線・ダイヤ改善や運賃設定等の促進(地域公共交通利便増進事業),MaaS参加の複数事業者の運賃設定のワンストップ化やMaaS協議会の創設(新モビリティサービス事業)等が掲げられ,公共交通の確保に加え,公共交通計画の策定並びにサービス向上に資する事業が法的に位置づけられるようになった。なお,2014年の同法の改正により,「地域公共交通計画」が都市・地域総合交通戦略も兼ねることが可能なったことを踏まえると,公共交通の他,徒歩・自転車,自動車を含めた,交通とまちづくりが連携した総合的な交通施策の推進が想定される。一方で海外の状況を見ると,公共交通政策が進んでいる欧州では,EU委員会において交通政策のガイドラインとして2013年に策定され2019年に改訂された“Sustainable Urban Mobility Plans”(持続可能な都市交通計画(以下,「SUMP」という。)において,道路混雑,大気汚染や騒音,気象変動,交通事故,路上駐車といった問題解決並びに新たなモビリティサービスによる生活の向上に資するべく,行政区域の範囲に限らず都市機能を踏まえた地域におけるアクセシビリティの改善,並びに高質で持続可能な交通の提供を目指すこととされている。本調査研究は,日本の今後の公共交通計画の策定及び財務・経営を含む施策の実施に資することを目的として,公共交通を軸としたモビリティ全体の水準を高める施策や制度,又それに伴う道路空間活用についてSUMP等の交通計画を策定している欧州を中心とした事例調査を行い,地域やモード特性の他,地方分権や官民間の役割分担等の視点で取りまとめるものである。(著者抄録)