抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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古典統計力学と量子力学の結合の問題は量子力学草創の当初以来激しい論争のたねであった。この問題についての第一の多かれ少なかれ厳密な解析はノイマン(J. von Neumann)の著書に記されている。彼の考察はノイマンの”ノーゴー定理”(no-go theorem)として知られているが,彼の結論は伝統的なコペンハーゲン解釈を将に支持するものでもあった。その後,様々な”ノーゴー定理”が証明された。なかでも,今日,最も良く知られているものはベル(Bell)の定理である。また,プレ量子論的(prequantum)な古典統計モデルを構築することの不可能性を支持する”ノーゴー定理”の証明もなされた。それにもかかわらず,著者は一連の論文で,プレ量子古典統計モデルを発展させた。そして,隠れた変数の役割は古典場によって演じられると考えることにより,PCSFT(Prequantum Classical Statistical Field Theory,プレ量子古典統計場の理論)を提案した。本論文では,PCSFTを用いて,プレ量子論的な長さのスケールでのランダム揺らぎを表すガウシアンなランダム場を考察した。平均に対する量子力学的表式(ノイマンのトレース公式)はプレ量子論的な長さのスケールから量子論的なスケール(このスケールを使って我々は測定を実行できる)へ移行することによって得られた。さらに,量子論的平均の古典平均からのずれの大きさの程度を見出した。それは長さのスケーリングパラメタを用いて表される。もし,プレ量子論的な長さのスケールとしてプランク(Planck)スケールを用いれば,このスケーリングパラメタκは量子系の場合には極めて小さな値となる。たとえば,電子の場合にはκ~10
-69である。しかし,κは系の質量mについてκ~m
3で増大する。このことは,一方では,量子力学が電子,中性子,などの量子論的粒子の集団の統計的挙動に対する極めて良い近似を提供する理由を良く説明している。他方では,このことから,プランク質量に較べて比較的重い系に対しては量子力学が有効に働かない理由が明らかとなった。