抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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2007年3月20日に絶滅危惧種として2007年環境省版レッドリストにも取り上げられているオキチモズク属が沖縄島で20年ぶりに再発見されたことが新聞報道された。これにより沖縄県における生育地は,沖縄島と西表島の2河川流域となった。オキチモズク属は,N.shawiiとN.tortuosa(N.shawii f.carolinianaは同物異名とされている)で構成され,前者は同化糸の長さが長く同化糸の細胞が樽型であるのに対して,後者は同化糸の長さが短く同化糸の細胞がシリンダー型である違いで区別されている。沖縄県の集団の同化糸の長さは両種の中間であり,両種の差異を埋めた。同化糸の細胞形態も一本の同化糸上に様々な形態が観察された。これらの結果は,沖縄県のオキチモズク属藻類の形態学的種同定が困難であることを示すことに加え,明瞭な分類形質と考えられていた同化糸の長さと細胞形態で両種を分けることができないことを示唆している。また,N.shawii f.carolinianaとN.tortuosaには分子遺伝学的な違いがあることが報告されている。以上のことから,オキチモズク属藻類の種分類をはっきりさせるには,今回報告した中間的な形態形質を示す沖縄県産のオキチモズク属も加え,N.shawii,N.shawii f.carolinianaとN.tortuosaの標本およびサンプルのより詳細な形態観察と分子遺伝学的な解析の比較が必要となる。(著者抄録)