抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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キラルな基のある化学物質を化学的方法で作るのは魅力的ではあるが,行うのは難しい。光学活性2,3-ブタンジオール(2,3-BD)は,二つのキラル基を提供することができ,不斉合成において特別な用途がある。しかし再生不可能な資源からの2,3-BDの化学的生産は実施に費用がかかり,三種の立体異性体の混合物を与える。鏡像異性体として純粋な2,3-BDの環境に優しいバイオテクノロジー経路による生産は,それ故むしろ望ましいことである。本研究では「SAME」(スクリーニング,分析,突然変異,評価)プロセスを導入し,2,3-BDを標的分子としたキラルな化学物質生産のための効率的な微生物を実現した。Bacillus licheniformis MW3(GRASかつ好熱性株)を,有望な宿主としてまず選択した。それからB.licheniformis MW3における2,3-BDの立体異性体形成機構を調べた。二つの立体特異的2,3-BDデヒドロゲナーゼ(BDH),つまり2R,3R-BDH(gdhがコードする)とmeso-BDH(budCがコードする)を,2R,3R-BDとmeso-BD産生に関与しているものと同定した。二つの代謝的に改変した二種の株,B.licheniformis MW3(ΔbudC)とB.licheniformis MW3(Δgdh)を,それぞれ(2R,3R)-2,3-BDおよびmeso-2,3-BD産生のために構成した。発酵42時間後,B.licheniformis MW3(ΔbudC)を用いて123.7g・L
-1の(2R,3R)-2,3-BDを合成し,一方,B.licheniformis MW3(Δgdh)を使って発酵32時間後に90.1g・L
-1のmeso-2,3-BDを合成した。これらの改変B.licheniformis株は,生産とバイオセキュリティーの水準が高いので,鏡像異性体として純粋な(2R,3R)-2,3-BDおよびmeso-2,3-BDの商業生産における可能性があるかも知れない。短いが効果的な「SAME」プロセスは,他のキラルな化学物質生産の代替法として役立ち得るのである。Copyright 2017 Royal Society of Chemistry All Rights reserved. Translated from English into Japanese by JST