概要 | 人工知能を搭載した自律機械の社会実装が現実味を帯びつつある中、社会的不安も同時に発生している。その種の不安が発生する理由のひとつは自律機械が起こした事故や、生み出した被害への責任の帰属先が不明瞭であることによる。 この不安を軽減するための手段として、本プロジェクトは、自律機械が実装された社会の中でも説得力を持つような責任概念を提案する。自律機械が社会になじむには、自律機械の社会的位置づけが、非専門家たる市民にも納得できるように、歴史的・文化的背景からも説明されなければならない。そのためには、現在の技術的・社会的状況を踏まえつつも、「自律機械が人間と対等と見なされるためには何が必要か」という問い―この問いは「人間とは何か」の裏返しである―を人類が積み上げてきた人文学的知見に投影する哲学的考察が必要である。そして、この考察に基づき、自律機械と市民をつなぐ新たな責任概念の策定を目指す。
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