イネ品種コシヒカリの自然突然変異体であると考えられているイセヒカリは,低頻度ではあるが自然条件下で様々な変異
体を生じることが知られている.本研究では,イセヒカリにおいて転移因子
mPingおよび
nDartが転移しているかを調査した.トランスポゾンディスプレイ解析の結果,イセヒカリとコシヒカリの間に
mPingおよび
nDartの挿入多型とコピー数多型があった.このことから,イセヒカリが成立する過程でこれらの転移因子の転移が関与した可能性が示唆された.しかしながら,イセヒカリの自殖後代 100 個体を用いたトランスポゾンディスプレイ解析では,イセヒカリにおいて
mPingおよび
nDartが今なお転移している証拠を得ることができなかった.これらの結果は,通常栽培条件下で栽培したイセヒカリにおいて
mPingおよび
nDartは活性がないかあるいは低活性であることを示唆している.
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