外科と代謝・栄養
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最新号
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特集 「エキスパートに聞く日常気になる小児外科代謝栄養」
  • 増本 幸二
    2024 年 58 巻 1 号 p. 1-4
    発行日: 2024/02/15
    公開日: 2024/03/15
    ジャーナル フリー

     セレン (Selenium;Se) はヒトにとって欠かせない微量元素の1つであり, 体内では抗酸化作用や甲状腺ホルモンの代謝調節などの機能に関わっている. このSeは体内蓄積が少なく, 吸収障害や需要亢進が生じた場合, あるいは異常喪失が続く場合などに, 血中濃度が低値となる低Se血症を呈し、時に臨床症状を伴うSe欠乏症となることがある. 成人も小児でも, 静脈栄養管理でSe投与がない場合や長期経腸栄養管理などでSe含有量の少ない製剤の使用により, 低Se血症やSe欠乏症が生じやすいと認識されている. 2019年に国内初の静脈内投与用のセレン製剤が市販され, 欧米と同様に低Se血症に対してのSe補充ができるようになった. 本稿では, Seに関する基本的知識の確認と, Se欠乏症およびその対策を述べ, 加えてSe製剤についても今後の展望についても解説する.

  • ~“どう”する亜鉛補充~
    大植 啓史 , 新井  勝大
    2024 年 58 巻 1 号 p. 5-9
    発行日: 2024/02/15
    公開日: 2024/03/15
    ジャーナル フリー
  • 位田  忍
    2024 年 58 巻 1 号 p. 10-15
    発行日: 2024/02/15
    公開日: 2024/03/15
    ジャーナル フリー
  • 金森 豊
    2024 年 58 巻 1 号 p. 16-20
    発行日: 2024/02/15
    公開日: 2024/03/15
    ジャーナル フリー

     近年, 腸内細菌叢と全身臓器との密接な関連が報告され, 多くの疾患の発症や病態形成に腸内細菌叢異常が関与しているという認識がされるようになった. これに連動するように小児外科疾患に関しても腸内細菌叢異常が疾患の発症や病態に関連しているのではないかという仮定を基にした研究報告が多くなされるようになった. 生後早期の腸内細菌叢獲得には多くの因子が関与しているが, 小児外科疾患患児では抗生物質の使用, 経口摂取制限, 腸管機能異常など, 多くの正常腸内細菌叢獲得を妨げる因子が存在し, 腸内細菌叢異常をきたしやすいことが想像される. この稿では, 壊死性腸炎, 短腸症候群, Hirschsprung病, 胆道閉鎖症, 固形臓器移植, 心疾患, 急性虫垂炎, 新生児外科疾患などの小児外科疾患における腸内細菌叢異常の報告を概説し, これを是正する治療法の可能性と今後のこの分野における課題について考察する.

  • 高増 哲也
    2024 年 58 巻 1 号 p. 21-24
    発行日: 2024/02/15
    公開日: 2024/03/15
    ジャーナル フリー

     食物アレルギーは本来敵ではない食物に対する免疫反応の結果として何らかの症状がおきることである. 診断は特定の食物に対して症状がみられたという事実と, 免疫によることを確認する検査の両方で行う.対処法は原因となる食物に対する必要最小限の除去である. 予防については従来, あらかじめ食べるのを控えておくとよいとされてきたが, 現在ではむしろ生後早期から食べるようにすることが予防につながるとして勧められるようになってきている.小児外科栄養と食物アレルギーに関しては,周術期の病院給食の問題と, 経腸栄養におけるミキサー食の導入についての課題がある. いずれもその対応については, アレルギー専門医とアレルギーに精通した管理栄養士の連携があることが望ましいが, 必ずしも実現されていないのが現状である. 経腸栄養における食物アレルギーの発症について実態を調査し, 適切な対処法を明らかにすることが望まれる.

  • 渡辺 稔彦
    2024 年 58 巻 1 号 p. 25-30
    発行日: 2024/02/15
    公開日: 2024/03/15
    ジャーナル フリー
臨床経験
  • 〜真の低侵襲手術とは?〜
    海道 利実, 宮地 洋介, 光岡 浩一郎, 三本松 毬子
    2024 年 58 巻 1 号 p. 31-36
    発行日: 2024/02/15
    公開日: 2024/03/15
    ジャーナル フリー

     膵頭部癌に対しては, 膵頭十二指腸切除術 (Pancreaticoduodenectomy:PD) が施行される. PDは高度侵襲手術であり, 膵液瘻や胃内容排泄遅延など術後合併症の頻度が比較的高く, また術前低栄養や糖尿病, サルコペニアなどを合併していることが多いため, 術後在院日数3週間以上がわが国の外科医の常識であった. そこでわれわれは, 術後回復促進プログラム (Enhanced recovery after surgery:ERAS) を積極的に導入し, 2020年4月より「PD術後10日以内の自宅退院を目標アウトカムとするクリニカルパス」を作成し運用を開始した. その結果, PD術後在院日数中央値8日と良好な結果を得ることができた. 合併症の少ない手術を施行し, ERASの導入による適切な周術期管理を行うことで患者が早期回復・早期退院・早期社会復帰できる手術こそが, 真の低侵襲手術であると考える.

総説
  • 静間 徹
    2024 年 58 巻 1 号 p. 37-40
    発行日: 2024/02/15
    公開日: 2024/03/15
    ジャーナル フリー

     肝虚血再灌流障害は, 虚血状態にある肝臓に再灌流が起きた際に, さらなる酸化ストレスが引き起こされ, 細胞死・臓器障害に至る病態である. フラボノイドに属するquercetinは, 抗酸化物質として知られており, 動物実験では肝虚血再灌流障害に対する肝保護作用が報告されている. その作用機序としては, 抗酸化作用やそれと関連した炎症性サイトカイン生成の抑制・抗アポトーシス作用などが挙げられている. しかしながら, quercetinの投与方法 (投与経路・投与量・投与から肝虚血までの時間等) は報告によって異なっており, 適正なquercetinの投与方法については, 不明な点が多い.

  • 久保田 啓介, 市川 奈津子, 磯田 一博, 榎本 実里, 小杉 美代子, 田邊 満里, 桜庭 尚哉, 遠藤 さゆり, 鈴木 淳司, 橋本 ...
    2024 年 58 巻 1 号 p. 41-49
    発行日: 2024/02/15
    公開日: 2024/03/15
    ジャーナル フリー

     治療中の患者に脂肪乳剤投与を考慮する, あるいはNSTから勧告されるような状況で, 投与に関わるさまざまな制限のため, あるいは弊害を危惧するため, その使用を躊躇することがあり得る. 本論文は患者への安全性と利便性の向上とを目指して, 臨床の現場で脂肪乳剤の適切な使用方法について検討した.
     まず冒頭で栄養療法・栄養介入の重要性, 脂肪乳剤投与の功罪と日本における現状, 脂肪製剤による違いなどについて最新の文献を参照してまとめた. 続いて本編において脂肪乳剤の使用法についての問題点として, 1.投与速度, 2.薬剤混合, 3.侵襲下投与, 4.術後早期の使用, を挙げ, 各種ガイドライン, その根拠としている出典文献, 最新の報告を参照して, 個別に回答を探求した.
     個々の問題点に対する回答は以下のごとく考える. 1.一般的に0.1g/kg/時間以下の速度での投与が推奨されるが, 必要であれば症例に応じてより速い投与は可能である. 2.基本輸液製剤への側管からの投与は問題ない. 3.侵襲下投与については第2・第3世代脂肪乳剤は安全であるが, 大豆油は症例に応じて慎重に適用すべきである. 4.手術直後からの脂肪乳剤投与は可能であるが, 内因性エネルギー動員を考慮して3‐4日目以降から開始する.
     本論文の要点は以下の通り. 国内では使用できない中鎖脂肪酸・魚油製剤(いわゆる第2・第3世代脂肪乳剤)の導入が急務である. 脂肪乳剤の使用法については, 個体差が大きいので個別化した投与を行わなければならない.

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