抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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近年書籍の返品率は4割前後にも及び,返品の多さが問題視されるようになった。出版業界では,出版社が価格を拘束する再販制度が存在する代わりに,書店に卸売価格に基づく返品を認める委託販売制度による取引が一般的である。これに対して,ここ数年委託販売制度とは別に,書店に高い利益率を保証するが書店が返品する場合に卸売価格の数割程度でしか買い戻さない責任販売制度による取引が取り入れられている。書店の利益率は書店での販売価格と卸売価格との差により決定され,また出版社の利益率は卸売価格と返品に対する買い戻し価格に依存する。このことから,書店での販売価格に対する卸売価格率と買い戻し価格率はこの取引において重要なパラメータを意味する。本研究では,書店・出版社の2者間での取引を契約問題として定式化し,卸売価格率と買い戻し価格率の決定方法について考察する。(著者抄録)