抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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筑波山周辺の渓流水中の硝酸イオンの濃度と同位体比の夏季と冬季の俯瞰的な調査結果から,1)夏季と冬季の硝酸イオンの濃度特性を基に40流域は13流域からなるグループ1(濃度が低く,季節間差も小さい)と17流域からなるグループ2(濃度は低くないが,季節間差は小さい)と8流域からなるグループ3(濃度は低くないが,夏季に濃度が低下する)と2流域からなるグループ4(濃度は低くないが,冬季に濃度が低下する)に大別できた。2)グループ1では冬季にδ
18Oの大きく上昇する地点が多く,グループ3では冬季にδ
15N,δ
18Oともに低下する地点が多かった。3)硝酸イオン濃度の低いグループ1で冬季に雨水由来の硝酸イオンの寄与が増大することとグループ3では冬季に硝酸イオンの消費活性が大きく低下していることが示唆された。4)雨水由来の硝酸イオンが流入した場合の濃度とδ
18Oの挙動を同位体混合モデルで解析した結果,硝酸イオンの量として最大見積もりで8.2%程度の雨水由来の硝酸イオンが渓流水へ流出したと推測された。5)雨水由来の硝酸イオンのシグナルが検出された流域の平均勾配は小さく,土壌の湿潤分布状態を示すTWI(地形的な湿潤指標)が高かったことから,そうした流域では水の滞留時間が長く,硝酸イオンの消費活性が高く,その結果,硝酸イオンの濃度が低くなったことが原因と考えられた。(著者抄録)