抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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近年,商品と消費者の嗜好の多様化を受け,自動で顧客(ユーザ)の嗜好に合致した商品(アイテム)を提示する推薦システムの重要性が高まっている.過去の購買履歴データを学習し,個々のユーザに対して推薦アイテムを提示するための推薦ロジックには様々な方法が提案されているが,近年では分散表現に基づく手法が注目されている.なかでも,各顧客の購買順序も考慮した分散表現モデルであるTransRecは,各顧客の商品購買の時間的関係性に基づいて推薦アイテムを決定することができる.一方,ECサイトの一形態として,電子商店街(ショッピングモール型ECサイト)も一般的となり,多くの消費者から利用されるようになった.多数の商店からなる電子商店街では,単一の小売企業によるECサイトとは異なり,ユーザは商店内のページを閲覧し,販売されているアイテムのなかから購買を行うことが可能となっている.このような電子商店街の購買履歴データに対してTransRecをそのまま適用した場合,商店の違いを考慮しないため,ユーザの商店に対する嗜好を十分に反映した推薦が困難になってしまう.そこで,本研究では,TransRecにおけるアイテムベクトルの学習に購買順序の遷移だけでなく,商店が与えられたもとでのユーザの嗜好を考慮したモデルの構築を目的とする.その際,商品やユーザと同様に,商店を埋め込み空間上の点で表現しようとすると,顧客の購買行動を表現することが難しくなってしまうという問題が生じる.そこで,本研究では,商店を埋め込み空間上の直線(ベクトル方程式)で表現し,ユーザによるアイテムの購買行動を点から直線への垂線によって表現するモデルを提案する.この方法により,電子商店街における個々の商店特性を考慮したアイテムの推薦が可能となり,ユーザの購買確率が高いアイテムの予測精度の向上が期待できる.本研究では,さらに楽天市場レビューデータを購買データと見なして用いた分析実験を通じ,提案モデルによる分析の結果を考察するとともにその有用性を示す.(著者抄録)