抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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近年,自然文で書かれた質問文に対して膨大な量の文章より回答を抽出する質問応答システムの研究が盛んに行われている。それらの基本的考え方は,質問文に対し,その内容的な類似性から答えを持ちそうな知識文をインターネットや新聞から検索し,疑問詞に対応する箇所を知識文から取り出し回答として返すものである。初期の研究では,質問文と知識文の類似性判定はTF/IDF法で行われていたため,回答精度は非常に悪かった。これは,文を形態素あるいは構文的な情報のみで回答抽出を行うと文の意味的内容を正確に把握することが出来ず,その結果,質問文中の語との意味的な類似性や語間の意味的な関係を考慮せずに知識文中の語との対応をとるため,誤回答を抽出してしまうことが多いためである.そこで,本研究では,自然文で与えられた質問文に対し意味解析を行い,質問文と知識文との意味的対応を十分正確に照合しながら回答を抽出するシステムMetisを開発した.Metisでは質問文と知識文が表す内容を精密に照合するために,それぞれに対して従来の自然語処理である形態素解析と係り受け解析を行うだけでなく,意味解析と照応解析を行いその結果を意味グラフの形式で出力する,そして,意味グラフの類似度から,文の類似性を評価するという,人における文の類似判定とほぼ同様の判定を行うものである。今回行った評価実験の結果を紹介する。クイズミリオネアの質問文100文に対してインターネットからの知識検索による質問応答を行った結果では,有効な知識文の検索率(再現率)が96%,回答精度74%と良い精度を示した,現在提案されている質問応答システムの多くは正解率が50%台であるので,非常に良い結果といえる。また,NTCIR CLQAのテストコレクション200問を対象として行った結果,知識文の検索率(再現率)が92%,正解抽出率が77.2%という精度を示した,この精度は2007年NTCIRのCLQAコンテスト中最高位の59.5%を上回るものだった。