抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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常緑針葉樹林は葉の季節変化が比較的少ないので,その生物季節のリモートセンシングによる観測は落葉樹林に比べて困難である。本研究では,常緑針葉樹リンの春の生物気候学的遷移日時を葉の色を検知できるGRVI(Green red ratio vegetation index)を利用して推定した。テストサイトとして栃木足尾山地にあるスギ,ヒノキ,サワラ植林地を用いて2001~2012年の12年間のMODIS500m反射率データ(MCD43A4)からGRVI時系列データを誘導した。各ピクセルの冬季-夏季のGRVI時系列データにロジスティック関数を当てはめ,2つの植物気候学的遷移日,即ち,緑化と熟成の開始日を推定した。GRVI時系列データは毎年,ベル型の季節パターンを示した。緑化と熟成開始の推定日の平均値はそれぞれ,通日(DOY)92とDOY142であり,2つの直物季節の間には50日の差があった。2つの推定植物季節遷移日と春の大気温度の平均の間には有意な負の関係がみられた(12年に対して緑化開始日の相関係数,r=-0.73;熟成の開始日,r=-0.74)。MODIS-MCD1202データからのEVI(Enhanced vegetation index)に基づく結果との比較では本研究での推定は空間的植物季節変動性の程度は小さかった。春の気温との統計的関係に基づき,衛星監視GRVIは常緑針葉樹林の緑化と熟成の開始の年ごとの変動を推定することが場合によりできるかもしれない。