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J-GLOBAL ID：201602275584991168   整理番号：16A1351857

物性物理学における‘スピンカイラリティ’はカイラルか?

著者 (1件)： 三田村裕幸 (東大 物性研)
資料名： 日本物理学会誌
巻： 71  号： 12  ページ： 857-858  発行年： 2016年12月05日 
JST資料番号： F0221A  ISSN： 0029-0181  CODEN： NBGSA  資料種別： 逐次刊行物 (A)
記事区分： 解説  発行国： 日本 (JPN)  言語： 日本語 (JA)

抄録/ポイント： 本誌2016年5月号の「現代物理学のキーワード」欄に物性物理学における「スピンカイラリティ」について一般的理解が忠実に記述されているが,本稿では,この理解に一石を投じる。螺旋磁気構造と三角クラスタ(および三角格子反強磁性体)における「ベクトルスピンカイラリティ」,そしてスピン由来の異常Hall効果で登場する「スカラースピンカイラリティ」について考察した。スピンは古典的には軸性ベクトルなので空間反転(P)対称性に関して偶パリティであるから,カイラリティではない。軸性ベクトルの外積であるベクトルスピンカイラリティも厳密な意味でのカイラリティではない。螺旋磁性のように軸性ベクトルとカップルすればカイラリティの要件を満たす物理量になることができるが,三角クラスタのように軸性ベクトルとカップルして意味をなすものはそうはならない。スカラースピンカイラリティもカイラリティとしての要件を満たさない。より普遍的な概念の構築が必要である。

シソーラス用語： *カイラル対称性 ,  スピン系 ,  物理学 ,  *螺旋磁性 ,  *三角格子 ,  *反強磁性体 ,  異常Hall効果 ,  *対称性の破れ ,  *パリティ
準シソーラス用語： *スピンカイラリティー ,  物性物理学 ,  空間反転対称性の破れ

分類 (1件)： 磁性理論  (BM06020X)

引用文献 (9件)：

• 1) 岸根順一郎:日本物理学会誌71 (2016) 294.
• 2) H. Katsura, et al.: Phys. Rev. Lett. 95 (2005) 057205.
• 3) T. Kimura, et al.: Nature (London) 426 (2003) 55.
• 4) T. Nakajima, et al.: Phy. Rev. B 77 (2008) 052401.
• 5) T. Arima: J. Phys. Soc. Jpn. 76 (2007) 073702.

タイトルに関連する用語 (3件)： 物性物理学 ,  スピンカイラリティ ,  カイラル