抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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FMO法は,北浦らにより開発された大規模分子のための非経験的分子軌道計算の近似法である。分子をフラグメントに分割し,フラグメントとフラグメントペアの分子軌道計算を行うことで分子全体の電子状態を計算する。分子全体を一度に扱う必要がなく,フラグメントとフラグメントペアの計算は独立して行うことができることから,並列化により大幅な高速化が可能である。計算精度もアミノ酸オリゴマーの計算では,従来法と比較して全エネルギーの計算誤差は数kcal/mol以下の精度を持っている。このため,たんぱく質の反応機構解明等,巨大分子を量子化学的に取り扱わなくてはならない系においてFMO法により分子軌道計算が始められており,現在までに計算された最大級の分子は,紅色光合成細菌の光合成中心膜蛋白質(アミノ酸残基数1,186,原子数20,581,電子数77,754)である。反応機構の解析は,固有反応座標計算(IRC)により行われるが,Ammalらは,電子移動(ET)と置換反応(SN
2)の両方の反応が競争的におこる系において,熱エネルギーをもつ場合には,必ずしもIRCどおりには反応が進まないことを明らかにしている。したがって反応機構の解明には,ポテンシャルエネルギー曲面(PES)だけでなく,動力学による解析が必要となっている。このため茶カテキン分子を用い回転ポテンシャルの精度を検証することにより広範囲なPESの精度の検証し,FMO法を用いた非経験的分子動力学法の適応性について検証を行った。なお,これまでにFMO法の最大の特徴であるフラグメント分割位置が,たんぱく質,酵素ではCα-C
*結合,DNAではデオキシリボースのC4’-C5’のsp3結合に限定されていることから,茶カテキン分子を用い一般の分子への適応可能性を検証した。その結果,分割方法により計算精度が大きく変化するが,上記検証された結合以外でも,適切な分割と電子の分配をすれば従来法との全エネルギー誤差が2kcal/mol以下の精度で分子軌道計算が実行可能であることを確認している。(著者抄録)