抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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インドネシアの農村部では,プカランガンやクブンと呼ばれる持続的で生物多様性の高い樹園地が発達していることが知られている。しかし,市場作物の浸透など,近年の途上国農村を取り巻く変化によって,これらの土地利用も変容してきている。本研究は,インドネシア,ランプン州における樹園地の実態調査をもとに,樹園地の植栽植物と植栽パターンの特徴,市場作物の普及と植栽種数・バイオマスとの関係の2点について分析し,市場作物の浸透が作物の多様性・バイオマス蓄積をどのような方向へ変えてきたかを検証した。その結果,調査地における樹園地は,カカオやコーヒーの生産にある程度重点を置きつつも,比較的多様な種組成や垂直構造を保っていること,樹園地の植栽種数は,全個体数におけるカカオの割合が高いほど少ない傾向があったが,一方でコーヒーの割合とは関係がなかったこと,世帯収入とバイオマスとの関連では,樹園地は低収入-低バイオマス,低収入-高バイオマス,高収入-中バイオマスの3つのグループに分けられることがわかった。これらの結果は,市場作物の普及が,必ずしも樹園地作物の急激な単一化を生むわけではないこと,また,樹園地の変容が,地域的な差異,住民の選好,生計戦略などを反映した経路依存的で漸進的なプロセスを辿ることを示唆している。(著者抄録)