抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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1995年に発生した阪神・淡路大震災においては,約300件の火災が発生し,7,500棟を上回る建物が焼損,500名以上の焼死者を出した。そして,その被害は木造密集市街地に集中している。密集市街地は全国に未だ数多く存在するため,今後,阪神・淡路大震災と同様,あるいはそれ以上の規模の都市直下型地震,または,東南海・南海地震などのプレート型地震の被害が考えられるわが国においては,地震に伴い発生するであろう大規模な市街地火災に対する対策を講じることは極めて重要な課題だと考えられる。密集市街地への対策を講じるにあたっては,市街地火災による被害を予測し,対策の有効性を定量的に評価する手法の整備が必要となる。このうち,市街地火災の燃え広がりを時系列に予測する計算モデルは延焼モデルと呼ばれ,これまでにも数多く開発されてきた。しかし,火災の中でも特にその拡大危険性が高いとされる地震時の火災については,延焼性状に大きな影響を及ぼす地震動による建物構造被害を反映した延焼モデルは少ない。また,開発されたモデルにおいても延焼リスクの評価が十分に行われているとは言えないと考えられる。そこで本研究では,地震による建物構造被害を考慮した延焼モデルを用いることで,市街地に対するリスク評価を,震災時の実状に近い形で行うことを第1の目的とする。さらにその目的において,阪神・淡路大震災によって多くの建物被害と延焼火災による被害を受けた神戸市の市街地を評価し,実際に起こった市街地火災が,市街地の危険性の評価と比較してどの程度の規模であったかを論じ,より正確な密集市街地の危険性把握につなげることを第2の目的とする。火災現象は,気象条件や出火条件など多様な要因によってその状況が大きく変化するものである。そこで本研究では,リスクの概念に基づき,出火条件,地震による建物の被害条件や気象条件を不確定なパラメータとし,複数回の予測計算を行うことで,最終的な損失期待値(火災拡大による焼失棟数など),すなわち火災リスクを求める。リスク評価には,上記の通り阪神・淡路大震災被災当時である1995年の兵庫県神戸市長田区周辺地域を選定,作成した市街地データを用いることとした。そして,リスク評価の結果,及び阪神・淡路大震災における実火災範囲との比較により,長田区周辺地域の脆弱性を評価した。...(著者抄録)