抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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イオン交換膜の高性能化,特に電気抵抗低減のためのアプローチの一つに薄膜化がある。従来製塩用途に使用されてきたイオン交換膜では,ポリ塩化ビニルなどの厚めの織布基材が補強材として利用されてきた。近年電池用途を中心に,機械的強度に優れた高分子多孔質薄膜を補強基材として利用するイオン交換膜の開発が活発に進められている。一方で細くて長い一次元物質である”繊維”を極限まで細くすることによって得られる”ナノファイバー”は,その直径サイズ,表面積の大きさ,ファイバー内での高分子鎖の配列または閉じ込めに由来する機能の発現が期待される材料である。ナノファイバーを積層することによって得られるナノファイバーシートは,網目状に連結したファイバー骨格構造とファイバー間に形成される相互に連結した空孔構造を持つことから,それ自体を多孔質材料として利用できるだけでなく,他の材料と複合することでコンポジットの骨格材料として利用することも可能である。本研究課題では,電界紡糸によって得られる直径100~160nmのシリカナノファイバーから,厚さ70~90μm,空孔率94%以上の無機多孔質シートを作製し,これを基材として利用することで有機・無機ハイブリッドイオン交換膜の作製を検討した。作製したシリカナノファイバー多孔質シートにスチレン-ジビニルベンゼン系や4ビニルピリジン-ジビニルベンゼン系など汎用的なイオン交換樹脂のモノマー溶液を含浸させ,加熱重合を行った後,スルホン化処理や4級化処理を行うことで有機・無機ハイブリッドイオン交換膜を作製した。作製したイオン交換膜の構造と物理化学的性質を走査型顕微鏡観察,フーリエ変換赤外分光測定,電位差滴定,インピーダンス測定等によって調査した。ナノファイバー多孔質シートを利用することで,既存の高分子多孔質基材と比べて高い空孔率によってハイブリッド膜中のイオン交換樹脂量を増やすことができた。この結果,作製した膜のうち,特にカチオン交換膜ではイオン交換容量を向上させ,膜の電気抵抗を低減できることを明らかにした。以上の結果から,ナノファイバーを骨格とする多孔質基材の有用性が示された。(著者抄録)