文献
J-GLOBAL ID:202402234824548854   整理番号:24A1992393

量子漸近位相が拓く量子同期現象の世界

Signatures of Quantum Synchronization Revealed by Quantum Asymptotic Phase Functions
著者 (2件):
資料名:
巻: 79  号:ページ: 416-425(J-STAGE)  発行年: 2024年 
JST資料番号: F0221A  ISSN: 0029-0181  CODEN: NBGSA  資料種別: 逐次刊行物 (A)
記事区分: 解説  発行国: 日本 (JPN)  言語: 日本語 (JA)
抄録/ポイント:
抄録/ポイント
文献の概要を数百字程度の日本語でまとめたものです。
部分表示の続きは、JDreamⅢ(有料)でご覧頂けます。
J-GLOBALでは書誌(タイトル、著者名等)登載から半年以上経過後に表示されますが、医療系文献の場合はMyJ-GLOBALでのログインが必要です。
京都の詩仙堂の庭園には,日本で最初に設置された鹿威しがある.鹿威しは,その名の通り,鹿や猪を追い払うためのものであるが,今では,その音の風情を楽しむものとして親しまれている.この鹿威し,自律的なリズム運動,つまり,外部とのエネルギーの出入りがある非平衡開放系における繰り返し運動をわかりやすく体現した例として,しばしば取り上げられる.このようなリズム運動は,身の回りの様々な場面でも,心臓の鼓動,動物の歩行,蛍の明滅,コオロギの鳴き声,神経細胞の発火,振動化学反応など,枚挙にいとまがない.リズム同士が交わると,お互いにタイミングを揃えて運動することがある.これは同期現象と呼ばれ,古くはホイヘンス(C. Huygens)が,同じ梁に支えられたふたつの振り子時計のリズムが揃うことを発見していた.同期現象は,蛍の集団発光,コオロギの大合唱,体内時計を司る神経細胞の集団発火など,多様なリズム現象において普遍的に生じ,機能的意義を持つことも多い.リズム運動やその同期現象には,系の詳細に依存しない普遍的なメカニズムが潜んでおり,意外なほどに単純な数理モデルを用いて記述できる.リズム運動は,漸近安定な周期軌道(リミットサイクル)を持つ力学系である非線形振動子として記述でき,その特性は,最も簡潔には,リズムの進み具合のみを表す位相モデルに集約できる.位相モデルは,非線形振動子に対して,系の運動とともに一定の振動数で単調に増加する漸近位相を定義することによって得られる.この位相モデルを用いることで,系の詳細によらない普遍的な同期現象の性質を,系統的に解析することができる.ところで,近年のナノテクノロジーの発展に伴って,マイクロ・ナノスケールの系における同期現象が実験的にも観測され始めており,リズム現象や同期現象の研究も,いよいよ量子効果を無視できない領域に入りつつある.このような背景から,量子開放系における非線形振動子の簡潔な数理モデルが2013年に提案され,これを機に,この10年程度の間に,量子同期現象に関する理論研究が大きく進展している.実験的にも,ルビジウム原子の集団などの量子系において,広い意味での量子同期現象が実際に観測され始めている.量子系の同期現象においても,古典系の場合と同様に,系の性質によらない普遍的なメカニズムが潜んでおり,位相モデルに基づく解析が有効ではないだろうか? 我々は最近,このような自然な見立ての下に,量子非線形振動子に対して,量子性が弱い状況で半古典近似の位相モデルを導出した.さらに,古典的な位相モデルの導出に用いられる漸近位相の定義を拡張して量子漸近位相を導入し,これを用いて,量子性の強い状況で生じる複数位相ロック現象と呼ばれる特有の同期現象を,詳しく解析できることを示した.これらの研究結果は,古典系の非線形ダイナミクスにおける解析手法が量子系の非線形現象に対しても有効である可能性を示している.近年の量子コンピュータの発展に伴い,量子開放系における非線形現象を実現するための実験技術は著しく進展している.量子同期現象に関する研究の進展がひとつの契機となり,量子同期現象のみならず,幅広く量子非線形科学という新たな研究の地平が今後切り拓かれていくことを期待したい.(著者抄録)
シソーラス用語:
シソーラス用語/準シソーラス用語
文献のテーマを表すキーワードです。
部分表示の続きはJDreamⅢ(有料)でご覧いただけます。
J-GLOBALでは書誌(タイトル、著者名等)登載から半年以上経過後に表示されますが、医療系文献の場合はMyJ-GLOBALでのログインが必要です。

準シソーラス用語:
シソーラス用語/準シソーラス用語
文献のテーマを表すキーワードです。
部分表示の続きはJDreamⅢ(有料)でご覧いただけます。
J-GLOBALでは書誌(タイトル、著者名等)登載から半年以上経過後に表示されますが、医療系文献の場合はMyJ-GLOBALでのログインが必要です。

分類 (1件):
分類
JSTが定めた文献の分類名称とコードです
量子力学一般 
引用文献 (49件):
  • 1) A. T. Winfree, J. Theor. Biol. 16, 15(1967).
  • 2) A. T. Winfree, The Geometry of Biological Time(Springer, New York, 1980).
  • 3) S. Strogatz, Sync: The Emerging Science of Spontaneous Order(Penguin UK, 2004); 蔵本由紀監修,長尾 力訳,『SYNC: なぜ自然はシンクロしたがるのか』(ハヤカワ文庫,2005).
  • 4) A. Pikovsky, M. Rosenblum, and J. Kurths, Synchronization: a universal concept in nonlinear sciences(Cambridge Univ. Press, Cambridge, 2001); 徳田 功訳,『同期理論の基礎と応用』(丸善,2009).
  • 5) 蔵本由紀,『非線形科学』(集英社,2007);『非線形科学;同期する世界』(集英社,2014).
もっと見る
タイトルに関連する用語 (4件):
タイトルに関連する用語
J-GLOBALで独自に切り出した文献タイトルの用語をもとにしたキーワードです

前のページに戻る