抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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PWMインバータが広く用いられてきている。PWMインバータは,高効率な電力変換が可能であるが,スイッチング周波数の高周波化に伴い,高周波漏れ電流やEMIが問題となっている。一方,線形増幅回路は,MOSFETなどの能動状態を使用し,素子の印加電圧や通過電流を連続的に調整して出力電圧制御を行うため,PWMインバータのような高速スイッチングに伴うEMIの問題を生じない。しかし,B級増幅回路の理論的な最大効率は78.5%と低いため,モータ駆動等の用途には適用されていない。これに対して,インバータ(D級増幅回路)に線形増幅回路を接続する方式が提案されている。 筆者らは先に,ダイオードクランプ形線形増幅回路(Diode clamped linear amplifier: DCLA)を提案した。これは,多数個のMOSFETを直列に接続し,各MOSFETのソース端子をダイオードを介して電源にクランプする回路構成に特徴がある。直列接続されたMOSFETの内,一素子だけを線形増幅回路と同様に能動状態で使用し,他の素子はPWMインバータと同様にオンまたはオフ状態で使用する。その結果MOSFETの直列数を増加すると各素子に印加される電圧は低下し,従来の線形増幅に比べて,能動状態で動作するMOSFETの損失を大幅に低減できる。このDCLAには,MOSFETをクランプするために複数の電位を有する直流電源が必要になる。そこで,本論文では,DCLAに適した直流電圧均一化回路を提案する。これは,各直流コンデンサにプッシュプル増幅回路の直流側を接続し,交流側をバランス用コンデンサを介して相互に接続した回路構成に特徴がある。今回,このダイオードクランブ形線形増幅回路に適した直流電圧均一化回路を実験により有効性を確認した。提案した直流電圧均一化回路は,直流電圧の電圧不均一を抑制でき,ダイオードクランプ形線形増幅回路の電源として,単一の直流電源あるいは平滑コンデンサ付きダイオード整流器の使用を可能にする。また,零相電圧制御を提案し,出力電圧の振幅を増加できるだけでなく,クランプダイオードや直流電圧均一化回路の損失を低減できる。その結果,94.7%の高い変換効率を実験により確認した。