抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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温度プログラム脱着(TPD)スペクトルおよび等温脱離によるSi(100)表面からの重水素分子の脱着動力学について検討を行った。β<sub>1,A</sub>,β<sub>1,B</sub>およびCとして示された3つの脱着成分は,TPDスペクトルの半対数のプロットにおいて識別することができた。それらのピーク位置および強度は,アニーリングをして初期D被覆θ<sub>D</sub><sup>0</sup>を制御するか,あるいはそれをしない表面調製方法により強く影響された。ピークCは,TPDピークの最先端で現われた。ピークCは,θ<sub>D</sub><sup>0</sup>=1MLでTPDピークの約5%のみであり,θ<sub>D</sub><sup>0</sup>の減少に伴い急速に縮小し,θ<sub>D</sub><sup>0</sup>=0.5MLで消失した。これに対して,β<sub>1,A</sub>およびβ<sub>1,B</sub>ピークは,1.0ML未満のθ<sub>D</sub><sup>0</sup>ですべてのTPDピークでなるものであった。β<sub>1,A</sub>ピークの最大は,TPDピークの最大温度付近でほぼ一定であった。一方,β<sub>1,B</sub>ピークは,TPDピークの高温側に現われ,θ<sub>D</sub><sup>0</sup>の減少に伴って高温に体系的にシフトした。これらの結果は,1次および2次の動力学が,β<sub>1,A</sub>およびβ<sub>1,B</sub>の脱離にそれぞれ作用することを意味するものであった。等温脱着試験により,有限領域,すなわちθ<sub>D</sub><sup>0</sup><0.5MLの上記の予想された動力学について検討を行った。速度曲線分析による結果から,脱着バリヤーは,β<sub>1,A</sub>およびβ<sub>1,B</sub>脱離でそれぞれ,1.6±0.1eVおよび1.8±0.1eVと評価された。これらの値は,広く認められている2.5eVまでの値よりも実質的に低かった。TPDスペクトルを再生するために,β<sub>1,A</sub>およびβ<sub>1,B</sub>脱離の1次および2次速度を含むArrhenius型の速度方程式を用いた。θ<sub>D</sub><sup>0</sup><0.4MLで測定されたTPDスペクトルは,E<sub>d,A</sub>およびE<sub>d,B</sub>の上記値を用いる場合,合理的に提案された速度方程式に適応することができた。しかしながら,θ<sub>D</sub><sup>0</sup>>0.4MLにおいて,TPD曲線は,同じ値で適応されず,むしろ,最適曲線は,上記の値よりも高いE<sub>d,A</sub>およびE<sub>d,B</sub>の値が必要であった。本研究の動力学による結果と,STMにより得られた結果を組み合わせ,β<sub>1,A</sub>およびβ<sub>1,B</sub>ピークは,2Hパスに基づく脱離に寄与し,ピークCは,4Hパスに基づく脱離に寄与しているものと考えられた。脱着バリヤーと等比容吸着熱のエネルギー関係と共に,原子論の脱着メカニズムが検討された。(翻訳著者抄録)