抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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海洋中において,硫化ジメチル(DMS)は,主に植物プランクトンが生体内で生成するジメチルスルフォニオプロピオネート(DMSP)を前駆体とし,生物・化学的経路を介して生成される。DMSは,海洋から大気に放出される生物起源の揮発性硫黄化合物のひとつで,磯の香りの主成分として知られる。DMSが大気中で酸化されると,二酸化硫黄やメタンスルホン酸になる。これらの酸化物は,さらに酸化され,エアロゾルや雲の凝結核を生成し,そこからできた雲が地表面に届く太陽放射を妨げる。そのため,DMSは,地球温暖化に負の影響を与える物質の源であるという点で重要視されている。海氷中には,海氷下海水に対して圧倒的に多数の植物プランクトン(アイスアルジー)が生息しており,海氷中で高濃度のDMSPが南極海での観測より報告されている(Trevena and Jones,2006,Mar. Chem.)。このため,海氷の割れ目・裂け目(リード)を通してDMSが大気中に放出されている(Zemmelink et al.,2005,GRL)。また,海氷が流出・融解した場合,大量のDMSPが海洋表層に供給され,その後DMSに分解されると考えられるため,海氷中のDMSPの分布状況を把握する必要がある。しかしながら,海氷のDMSP濃度の鉛直的な分布,特に,ブライン(高塩分水)における濃度分布,植物プランクトン現存量(クロロフィルa)との関係を詳細に調べた研究は少ない。そこで,本研究では,南極昭和基地沖の海氷及びブラインのDMSPの定量的な評価と,クロロフィルaとの関係を明らかにすることを目的とした。(著者抄録)