抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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日光男体火山は北東日本弧の南部に位置する層状火山である。これまでの多くの地質研究は,層状火山は主ステージに構成され,これを覆う火砕物及び溶岩流は後期ステージに形成されたことを示唆している。後期ステージのいかなる堆積物間にも堆積ギャップが発見されないので,後期ステージのすべての活動は連続的におよそ12ky BPに行なわれそれ以降現在まで休止していると推論される。しかしながら,我々は頂上火口からおよそ2kmの男体火山の北東麓に弁天河原火砕流堆積物(BPFD)と命名した火砕流堆積物を発見した。この堆積物は後期ステージの部層である荒沢軽石流堆積物を覆う約80cmの厚さの風化火山灰層を覆って分布している。BPFDの下部半分は火山れき及び灰からなり,一方上部半分はクラストサイズの火山れきからなる豊富なスコリアから形成されている。堆積物はまたパン皮状ブロックとスコリアを特徴的に含んでいる。パン皮状ブロックの外皮に刻まれた亀裂は,ブロック内部の溶融部分における遅延発泡に由来すると考えられ,それらの亀裂の縁には円磨された形跡が全くないので,亀裂形成後には円磨作用を与えるような移動はほとんどなかったと見なされる。弁天河原火砕流堆積物に含まれる2個の炭化木片の
14C年代を測定したが,年代は約12~11 cal ka BPであった。したがって,我々はBPFDは短い(~3ka)休止期間をもって後期ステージの後に堆積したと示唆する。