抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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これまでMHD発電の研究において,ローレンツ力の作用する超音速流れ場の研究が数多くなされ,その結果,ローレンツ力によって発電機内の超音速流れに衝撃波が現れることや,小さなローレンツ力で高効率な発電を行うための運転条件についての知見が得られている。そのほかにも,ローレンツ力が印加された超音速流れ場の研究は近年盛んになっており,ローレンツ力印加に伴う流れ場の振舞いが重要となっている。そこで,本研究では,流路内の超音速流れ中の壁面に形成される境界層に着目し,これに電流と磁場を印加して加速方向と減速方向のローレンツ力を作用させ,流路内の静圧分布や境界層内のマッハ数分布がどのように変化するかを調べた。また,加速方向と減速方向のローレンツ力で流路内の電流分布や壁面近傍の放電がどのように変化するかについて調べた。以下にその結果をまとめた。1)流れに加速方向のローレンツ力を印加することにより,主流のマッハ数に変化を与えることなく,境界層内のマッハ数を高めることができ,ローレンツ力による境界層の選択的な加速が実験的に初めて観測された。これにより,境界層の剥離を抑えることができる可能性が示唆された。2)この時,外部電源により流れに加えられたエネルギーの約54-61%が,ローレンツ力によって流れを加速する仕事になったことが明らかになった。3)減速方向のローレンツ力を印加した場合には,主流にも大幅なマッハ数の減少が観測された。これは,ローレンツ力により境界層の運動量が減少させられ,それと同時にジュール熱により境界層内の気体が加熱され,境界層の著しい成長をもたらしたことによると推定される。4)加速方向の電流の印加と,減速方向の電流の印加では,放電に伴う発光分布に違いが見られたが,これは境界層内の起電力分布に起因していると推測される。