抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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火は生態系に大きな影響を与えるとともに,さまざまな生物に生育機会を与える。アメリカ合衆国カリフォルニア州は山火事の多発地域であり火に依存した生態系が成立しているが,アメリカ合衆国やカナダの国立公園では生態系の保全と大規模な火災の防止を目的に定期的な火入れによる生態系管理を行っている。本文では,岡山県真庭市蒜山地域で行われている火入れについて解説し,火入れ実験と火入れがされなくなって森林へと遷移するプロセスに関する研究について紹介した。火入れは草本から木本,高木への遷移を後戻りさせ,草原を維持させるための手段であり,蒜山地域では1000年以上前から火入れが行われていたが,昭和30年代以降の燃料や化学肥料の普及により草原の必要性が失われたことを機に衰退した。蒜山地域での火入れ研究により,火入れによる温度上昇は地表面が最も高く,地表から数cm入ると温度が上がらないため埋土されたドングリや植物の地下部は生き延びること,カシワ,クリ,コナラなどは春の火入れで地上部が焼かれるため,毎年根元から萌芽し,地下部が肥大化してくること,火入れがされなくなって60-80年後にはコナラ二次林が成立することなどが分かってきた。