抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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山地での樹木植栽は,木材生産を目的としたため針葉樹の植栽が一般的であった。近年では森林に対する国民の関心が環境的な面に移っているため広葉樹の植栽も行われているが,いくつかの問題点も指摘されている。本文は,山地での樹木植栽緑化で発生している問題点として,外来種(ニセアカシア(Robinia pseudoacacia L.)の問題,広葉樹植栽の問題について長野県での事例を中心に述べたものである。北アメリカ原産で明治初期に日本に導入されたニセアカシアは,やせた土壌でも生育し根粒バクテリアによる地力改善効果があるため荒廃地の緑化樹種として活用されているが,繁殖力が強く在来植生への遷移が進まない問題がある。長野県では拡大しすぎたニセアカシアを抑えるために植栽をやめ,根絶に向けた取組みを行っている。広葉樹植栽については苗木さらには種子源の生産流通にまで及ぶ大きな問題がある。林業種苗法のもと種苗の配布区域が制限されている針葉樹と異なり,広葉樹にはその制限がないため苗木は県内外に自由に流通している。また種子に至っては外国産を含む地域外の種子が持ち込まれ苗木生産がされているため,種が国内と同じであっても種子源が国外であるため生態系に与える影響も大きい。これらの点も踏まえ,山地へ植栽する場合は植栽される地域の環境に適合した系統の苗木を選択すること,導入種,系統が繁殖することを常に意識しておくことが必要と考える。