抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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作物生産システムにおける総合的な評価を行う試みとして,肥料要素がメタン発生および田面水の水質の二つの環境負荷並びに籾収量の両面に及ぼす影響について検討した。田面水の全窒素濃度(TN)は,基肥施肥・代かき時と,窒素およびカリの2回の追肥後の3時期に急激に上昇し,全リン濃度(TP)は基肥施肥・代かき時にのみ増加した。生育期間中の積算メタン発生量および精籾重は,無肥料区<三要素区<三要素+堆肥区<窒素倍量区となり,両者の間には高い正の相関が見られ,収量が増えるほど積算メタン発生量が高まった。積算メタン発生量の約8割が出穂以降に発生しており,これと穂数との間に高い正の相関が見られた。すなわち,水田では出穂以降のメタン発生が環境負荷に大きな影響を及ぼし,肥培管理が穂数への影響を介して籾収量とメタン発生量の双方に影響していることが明らかとなった。一方,出穂前の積算メタン発生量は栽培前の土壌炭素含有率との間に高い正の相関が見られた。積算メタン発生量,田面水のTNおよびTPを精籾1g当たりの値で算出し,これらの値を三要素区を100としたときの比率で表すレーダーチャートを作成した。このレーダーチャートは肥培管理の違いによる生産性と環境負荷を総合的に評価することが可能であった。その結果,環境負荷は試験区により異なったパターンを示し,肥培管理の違いが籾収量を尺度とした各環境負荷量に及ぼす影響は大きく異なることが明らかとなった。(著者抄録)