抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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IODP南海トラフ地震発生帯掘削計画として紀伊半島沖東南海地震(マグニチュード8.1)の震源域掘削が2007年秋頃から始まる。それに先立ち,我々は2006年3月,紀伊半島南東沖南海トラフ付近における地殻構造の高精度イメージングのため,深海調査研究船「かいれい」のマルチチャンネル反射法地震探査システムを用いた高分解能3次元反射法地震探査を行った(KR06-02航海)。「かいれい」3次元探査域は3ケ所の掘削サイトをカバーしており,本調査には長さ約5kmのストリーマーケーブル(204チャンネル)と,約100m離れた2式の震源アレイを用いた。高分解能調査のため用いた各々の震源アレイはGガン2基とGIガン1基の組合せである。特に,ストリーマーケーブル1本のみを曳航する本調査では,左右震源アレイを交互に発震するFlip-flop方式を導入することで,1 sail lineにつき2 CMP lineのデータ取得が可能となり,データ取得作業の効率が倍増した。最終的な3次元データ取得範囲は3.5×52kmとなった。データ記録長は10秒,サンプリング間隔は1msecである。また,震源アレイとストリーマーケーブルの曳航深度は,それぞれ5mと8mに制御した。発震点および受振点の測位のため,SPECTRAとREFLEXを使用した。調査期間中に船上QCなどの結果,良好なデータ取得が確認できた。調査終了後,陸上での3次元ビンニングなどの前処理を終えたCMPデータを用い,3次元重合前深度マイグレーション処理を行った。最終的に,3次元区間速度モデルと高分解能の地殻構造イメージが得られた。速度不確定性を推定するために行った3D PSDM速度テストの結果より,最終速度モデルは,約6kmの深度において最大±5%の速度不確定性を持つことがわかった。得られた3次元地殻構造の解釈の結果,南海トラフ底で沈み込んでいる,3つの音響ユニットから成る四国海盆堆積層の層厚変化が明らかとなった。特に,最上位のユニットCは,トラフ底から陸側への有意義な層厚増加や背斜構造によって特徴付けられ,また,ユニットCの中央には強振幅の反射面Rの存在が認められる。この反射面Rは斜めスリップ断層面として解釈され,このスラスト断層運動によって,ユニットCが重なり,陸側へ厚くなっていることが考えられる。(著者抄録)