抄録/ポイント:
抄録/ポイント
文献の概要を数百字程度の日本語でまとめたものです。
部分表示の続きは、JDreamⅢ(有料)でご覧頂けます。
J-GLOBALでは書誌(タイトル、著者名等)登載から半年以上経過後に表示されますが、医療系文献の場合はMyJ-GLOBALでのログインが必要です。
想定地震に対する地震動の評価精度を高めることは地震災害対策を進める上で極めて重要な課題である。この点に関して著者らは,もともと古和田他(1998)により提案された経験的サイト増幅・位相特性を考慮する手法の適用に関する研究をすすめている。前報(野津・菅野,2006)では本手法を既往の内陸活断層地震および海溝型地震に適用し,強震記録の再現性という観点から,同手法の適用性を検討した。その結果,内陸活断層地震の震源近傍における指向性パルスが同手法により適切に再現されること,海溝型巨大地震による0.2-1Hzの帯域の強震動は,比較的シンプルな特性化震源モデルと同手法との組み合わせにより説明できることなどが示された。しかしながら,これまで用いてきた方法には,因果性を満足する地震波を生成できないという問題点が存在していた。ここに因果性とはある時刻t<sub>0</sub>に対してt<t<sub>0</sub>で地震動が0となるような性質のことをいう。本研究では,因果性を満足しない地震波が生成される原因について考察を行うとともに,因果性を満足する地震波を生成できるよう,計算手法の改良を行った。具体的な改良点は,グリーン関数を推定する手順の一部にスペクトルの平滑化を導入したことである。改良後の手法を既往の内陸活断層地震および海溝型地震に適用することにより,因果性を満足し,かつ既往の強震記録とも調和的な地震波が生成されることを確認した。併せて,多重非線形効果(野津他,2003)の影響を考慮できるよう,計算手法の改良を行った。本研究に使用した計算プログラムを付録CDに収録しているので,活用していただければ幸いである。(著者抄録)