抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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緊急地震速報における精度の高い震度推定を目指し,震度推定のための震源パラメータとして“震度マグニチュード”を開発した。通常,震度推定は,マグニチュードをパラメータとした距離減衰式を利用して行われるが,マグニチュードは,変位から定義されるパラメータであるため,短周期の加速度や震度の推定に最適なものとは言えず,推定誤差を生む重大な要因となっている。そこで,我々は,観測された震度から直接定義される震源パラメータである,震度マグニチュードを考案した。震度マグニチュードと実測された震度は定義式により直接関連付けられているので,震度マグニチュードを使用すれば精度の高い震度推定が可能となることが期待できる。その有効性を検証するため,Hi-netで記録された127地震(11242データ)を使用した解析を行った結果,震度マグニチュードを用いた手法による震度推定誤差は0.438となり,マグニチュードをパラメータにした既往の手法の結果(0.560)に比べ,誤差が22%減少することが分かった。次に,リアルタイムシステムでの利用を考え,P波の波形データのみから計算できる“P波震度マグニチュード”を開発した。検証の結果,P波震度マグニチュードによる震度推定誤差は0.466となり,全相データを利用した既往の手法に比べて誤差が17%減少することが分かった。さらに,P波震度マグニチュードは,大地震の際,断層破壊の早い段階で最終的な値を示すため,このパラメータを使用することにより,断層破壊の終了を待たず,ほぼ正確な震度を推定可能とすることが示された。これらの特徴は,緊急地震速報にとって極めて有効なものであり,著者らは,Hi-netを利用したP波震度マグニチュード即時計算の実システムを構築した。今後緊急地震速報システムにおける震度マグニチュード(P波震度マグニチュード)の利用が期待される。(著者抄録)