抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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著者らは前報において, 地上部の量あるいは穎花数に対する相対的根量, さらに根の生理的活性がイネの穂ばらみ期耐冷性と相関関係があることを明らかにした. 本研究は, 一般に耐冷性と密接に関係することが知られている花粉数に着目し, 相対的根量(根/葉茎穂比あるいは1穎花当たりの根の乾物重)あるいは根の生理的活性が花粉数に及ぼす影響, さらに花粉数と耐冷性の関係を明らかにする目的で行った. 前報と同じ材料から得られた葯の花粉数を測定した. 施肥窒素量が増加すると, 常温区, 冷温区(小胞子初期に昼17°Cー夜12°Cを5日間処理)ともに開花直前の花粉数が著しく減少すると同時に, 冷温区の受精率すなわち耐冷性は低下した. また, 前報において相対的根量は施肥窒素量の増加に伴い減少することが示されているが, その相対的根量が減少するにしたがい花粉数も直線的に減少する傾向が認められた. 一次枝梗分化開始期の剪根により相対的根量を人為的に減少させる, またはこの時期からの呼吸阻害剤処理により根の生理的活性を減少させると, 常温区, 冷温区ともに花粉数は減少し, 花粉数と冷温区の受精率の間には有意な正の相関関係が認められた. 以上より, 根の発達や活性は花粉形成を介して, 耐冷性に影響することが明らかとなった. また, 窒素多肥による耐冷性の低下は, 相対的根量の低下による花粉数の減少が原因の一つになっていることが示された. さらに, 相対的根量や根の生理的活性は冷温区だけでなく常温区の花粉数にも影響を及ぼしたことから, それらは体質的にイネの耐冷性を変化させ, 冷温に遭遇した際にその抵抗性に影響すると考えられた.(著者抄録)