抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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収量など複雑な量的形質の改良をめざしてDNAマーカーを用いた育種を行う上では, 改良しようとする形質やそれらの遺伝子座の機能を明確にしておくことが必要となる. 本研究では, QTL解析研究に用いられているインド型多収性水稲品種ハバタキが日本型品種ササニシキと比較して多収となる要因をソース能, いいかえると乾物生産能力の見地から解析した. ハバタキはササニシキに比較して収量は60~120g m
-2高く, これは専ら高い収穫指数によっていた. ハバタキが高い収穫指数を示したことには出穂前に茎葉に蓄積され, 出穂後に穂に転流される同化産物量の多さに加え, 穂ばらみ期から登熟期に生産される同化産物の多さが関わっていた. ハバタキの同化産物生産量の多かった要因として上位葉で穂ばらみ期から登熟前期の午前における光合成速度(最大光合成速度)が高いことと, 蒸散の大きくなる午後でも高い光合成速度を維持することがあげられた. ハバタキは総根長, 根表面積のいずれもササニシキより大きく, 根から葉までの水の通導抵抗が小さかったことから, 高い吸水能力によってハバタキが午後でも高い光合成を維持することが推察された. 今後の多収水稲育成においてハバタキのもつ高い最大光合成速度と吸水能力に関わるQTLを見出し, 日本型品種に導入していくことが有効であることが示唆された.(著者抄録)