抄録/ポイント:
抄録/ポイント
文献の概要を数百字程度の日本語でまとめたものです。
部分表示の続きは、JDreamⅢ(有料)でご覧頂けます。
J-GLOBALでは書誌(タイトル、著者名等)登載から半年以上経過後に表示されますが、医療系文献の場合はMyJ-GLOBALでのログインが必要です。
複数の太陽光発電(PV)システムの出力変動に対しては「ならし効果」と呼ばれる変動平滑化効果が知れれているが,実際にPVシステムが大量導入された際の分析例は少ない。本研究では,群馬県太田市で行われているNEDOの受託研究の一環として,533軒のPVシステムの変動の分析ならびにならし効果の実証を行った。変動の特徴抽出の高速処理を実現するためにフーリエ変換とウェーブレット変換の2つの周波数解析を用いた。フーリエ変換では変動の周波数から変動の頻度と大きさを考慮した特性を把握するために変動エネルギー(EF)という指標を定義した。一方,ウェーブレット変換では時系列の周波数解析という特長を生かし,周波数帯毎の時間的な特徴点を抽出して,最大の変動幅を把握するために最大変動幅(MMF)という指標を定義した。また,解析対象とする変動周期の範囲は,速い変動から遅い変動まで満遍なく分析できるようにオクターブ分割という分割方式を採用した。MMFの算出は周波数帯毎に行い,パワースペクトルの上位何点かを用いる。変動周期範囲は2の累乗毎に分割されており,あらゆる周波数帯を満遍なく解析できる。ある点の時刻を中心に評価窓を分割範囲で設定し,評価窓内の最大値と最小値の差をMMFの候補として算出し,いくつかの点から求まる候補の中の最大値をMMFとして採用する。EFを算出する過程は,フーリエ変換によいフーリエ係数を求め,その絶対値の2乗から,パワースペクトルを算出する。パワースペクトルは各周波数におけるエネルギーを示しているため,周波数帯毎に合計することで各変動周期のEFが算出できる。変動の大きさを評価する指標である最大変動幅の算出では,最大出力変動幅の原理に基づいた算出方法と比較し,約1800倍の速度で計算できることを確認した。変動の幅を評価する変動エネルギーはそれ以上に速く処理できる。これらの開発した評価手法を用い,約900m×700mにPVシステム500軒が集中的に設置された場合(集中連系型PVシステム)の変動特性を変動の指標である最大変動幅及び変動エネルギーに対して,変動周期や面積と導入数を考慮した導入規模を変数として評価した。その結果,集中連系型PVシステムの変動を統計的に示すことができ,約2分以下の短周期の変動成分において顕著な「ならし効果」が発生していることを明らかにした。