抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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鉄道総研発足から今日まで,列車運行の安全を確保するために取り組んできた研究開発の内容を,災害の種別と研究開発の種別に分けたマトリックスで整理した。それによると,次のことが分かる。1)列車運行の安全を確保するための一方策である運転規制に関する研究開発では現象の解明・外力の検知・外力の評価・耐力の評価が主たるものとなっている。2)運転規制と直接関係ないものは対策上の開発が主体となっている。ここでは,鉄道にとっての主な災害について,研究・開発の概要を紹介した。1)強風災害:列車の高速化,車両の軽量化という動向に伴い,転覆限界風速の推定精度の向上,強風に対する列車の安全性評価手法等の研究が進んでいる。2)降雨・洗掘災害:雨によって斜面が崩れるか否かを評価するために,降雨が斜面上や斜面内を流下する状況をモデル化した斜面崩壊危険度の評価手法を開発中である。3)地震の検知・警報:新幹線の「ユダレス」に替わる新しいシステム(早期地震警報システム)を開発して,新幹線,在来線に導入してきた。また,地震時の列車運行の可否を判断するための地震動の指標について,その値の評価を行ってきた。4)雪氷害:新幹線において,散水後の雪質を含めて雪質ごとの雪の舞い上がり発生状態を明らかにした。在来線でも着氷雪の成長と沿線の気象状況との関係を明らかにした。5)地山の風化に起因する災害:これまでの事例を分析し,落石発生源となり得る露岩,安定度の小さい斜面,土石流の発生が懸念される渓流の抽出手法を開発した。