抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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秋吉台の半自然草原内において,採草時期,非採草地,草原性植物種の生育度合といった,さまざまな採草方式をとった計23地点より採取した土壌サンプルの化学分析を行った。採取は2006年11月29日に行い,採取場所は秋吉台中部に多く分布していた。調査結果から,採草地のNO
3,K,Mg,Ca量,Ca/Mg比,塩基飽和度,Ca飽和度,pH及び仮比重は,非採草地土壌の分析結果よりもわずかに高く,有為差が認められた。しかし,両者の土壌間のN,C,CECの値に有為差は認められなかった。これは,採草地の土壌が元々肥沃であり,非採草地よりも有機物量が多いために,採草による有機物の持出しがあっても肥沃度が高い状態で維持されてきたと推察できた。しかし農家が採草を行わず,土壌化学物資も放置され,土壌中に蓄積され続けていれば,植物種多様化の低下をまねいていたと考えられる。一方で,大型機械による採草により,機械の踏圧で土壌硬度が増していることから,採草行為が土壌の化学的性質の変化に大きな影響を与えていることが分かった。以上の結果から,人力作業による適度な採草は,種の多様性や植生構造の多様性を維持することに貢献していると考えられた。